NOVEL REVIEW
<2002年03月[中盤]>
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03/15 『ランブルフィッシュ3 場外乱闘恋心編』 著者:三雲岳斗/角川スニーカー文庫
03/14 『ランブルフィッシュ2 中間試験暴走編』 著者:三雲岳斗/角川スニーカー文庫
03/13 『ランブルフィッシュ1 新学期乱入編』 著者:三雲岳斗/角川スニーカー文庫
03/12 『総理大臣のえる! 乙女の怒りは最終兵器』 著者:あすか正太/角川スニーカー文庫
03/11 『総理大臣のえる! 恋する国家権力』 著者:あすか正太/角川スニーカー文庫


2002/03/15(金)ランブルフィッシュ3 場外乱闘恋心編

(刊行年月 H14.03)★★★☆ [著者:三雲岳斗/イラスト:久織ちまき/角川書店 角川スニーカー文庫]  恵里谷闘専学内RFトーナメント試験の二回戦&三回戦。↓でまりあの見せ場がほしー と言ってた所、早速彼女のRF「ヴァージニティ」の試合が描かれていたので嬉しかった です。まあ結果は試合前の雰囲気から大体読めてたんですが、試合後のまりあの気持ちと か、D班メンバーがいかに瞳子の事を気に掛けてくれているかなどがよく伝わってきまし た。まりあに付いてた沙樹も瞳子と喧嘩してる時とは違う雰囲気があって良かった。  それから1巻感想で、試合そのものよりD班メンバーがRFを試合に送り出すまでの過 程の描写がもっと欲しかったと書きましたが、今回はまさにそれを見せる為の展開だった ので非常に満足でした。沙樹が搭乗するガンヒルダの三回戦の試合自体の描写が本当に最 後の数ページだけなのは、それまで相手のRFベゼリィの絶対防御結界「フェイタル・チ ャイルド」攻略に瞳子達が試行錯誤を費やしてきた部分が丁寧に描かれていたので、結果 を見せるにはそれだけの分量で充分だったからだと思いました。前巻のRF戦メインの展 開とは対照的でしたが、私は人間関係が掘り下げて描かれてるこっちの方が好みだな〜。  瞳子はいきなりD班班長代理に抜擢されるわ、天敵(というより好敵手っぽい感じだけ ど)な新キャラ・優妃に沙樹を巡るこたごたに付き纏われて巻き込まれたりでホントにお 疲れさまだったわけですが、今回は彼女の心情――怒ったり苦悩して迷ったり吹っ切れて 意気込み見せたりの部分が活き活きしてて一番印象に残りました。他人は他人で自分は自 分と割り切って、ガンヒルダ設計主任の立場も含めて成長を見せてくれたかなと。  優妃の登場で学園恋愛風味も増すかと思われたけど、沙樹はあの性格だからともかく瞳 子の方がニブいので盛り上りも微々たるものだった気が……(そのくせ意識せずに沙樹に “あたしのことどう思う”とか平然と聞いてるしさー(笑))。でも優妃に対抗してクッ キー作ってる辺り意識してない訳じゃないのかも。それが単に優妃に対する対抗心なのか、 それとも沙樹の事を気にしてなのかは……瞳子の場合その両方でしょうねきっと。  ……とりあえず、あんな引っ張りまくりな終わり方もずるいのでレベリオンの最終巻共 々早く続きを読ませてくださいとでも言っておきましょうかね(^^;)。  既刊感想:
2002/03/14(木)ランブルフィッシュ2 中間試験暴走編
(刊行年月 H13.09)★★★ [著者:三雲岳斗/イラスト:久織ちまき/角川書店 角川スニーカー文庫]  沙樹VS要の中間試験トーナメント2回戦。1冊でたった1戦やるにはちと分量多くな いかい? と読む前はRF戦の描写で中だるみしないだろうかと不安だったのですが、試 合前→本戦→試合後の余韻の流れでうまくバランス取れてたように感じました。要と芹架 との間にあった過去描写がちと弱かったような気もしましたが、今回試合後の展開は特に 良かったです。次巻で描かれる3回戦への繋ぎや要と芹架の事、何より医務室で要と話し てた時のまりあが凄くいい感じでした。この娘はじわじわと存在感出てきてますね。  ガンヒルダに秘められてる部分は今回機体そのものをハッキングして暴走させた将利が 鍵を握る存在として描かれてたけど、やっぱりまだ謎は深い所にあって何だかよー分から んという感想でしたが、こういう伏線は後々明かされた時にじわりと効いてくるものだか ら2巻時点では断片のみで充分なのかも(引っ張られる読み手としては気になるのであま りよろしくないのだけれど(笑))。第三章の祭理の事と序章と終章の部分は、後の伏線 とは分かってても何で脈絡も無くこんな所に挿入するのかなと、構成の難というか不自然 さを感じてしまったのですが……う〜ん。海外で将利を探す祭理と物語の中心である恵里 谷を結び、将利と奈緒の関係を見せた事で少しずつバラバラだったピースが繋がり始めた 所なので、今後の展開でこれらの描写が生きてくるとまた感想も違ったものになるんだろ うと思います。構成がイマイチなだけで内容自体はどっちも良かったので。  2巻で最もインパクトを与えてくれたのは、そりゃもうナチス軍服&網タイツ&ペット にドーベルマンな校医の東郷カオルコ先生しかいないでしょう。童顔&コスプレ好きな奈 緒先生もそうだけど、何か趣味に走ってやしませんか〜?(笑)   しかしキャラクターがこういった個性の強い奴らばかりだから書き分けもしっかりして るし、登場人物過多でもわりと頭の中にすんなり入ってくるんではないかと思います。た だ多い分だけ、個々の描写がどうしても薄くなってしまう所が不満と言えば不満ですが。  今回のカンサイ先輩と芹架は、どうも今回限りの使い捨てっぽく思えてしょうがないの ですが(^^;)、2人ともいいキャラクターなので再登場で物語に絡ませて欲しいです。  既刊感想:
2002/03/13(水)ランブルフィッシュ1 新学期乱入編
(刊行年月 H13.06)★★★ [著者:三雲岳斗/イラスト:久織ちまき/角川書店 角川スニーカー文庫]  ううむ……総合的には読み易いし面白かったです。が、あっちこっちから色々要素を引 っ張り込んで詰めまくってぎゅうぎゅうな印象だというのもあったかな。だからといって 窮屈ってわけでもなかったんだけど、レベリオンの時と同様に1巻からやたらと伏線張り 巡らしてるから、シリーズ作品としては適した描き方だと思うんですが「もっとキャラク ターの内情も見せてよ〜」ってのがちと不満要素。あとがきで登場キャラクターが30人 近くいるってのを見た時「え、そんなにいたっけ?」と思ったのはそれ程多いと感じなか ったのか、それとも単に把握し切れてなかっただけなのか(^^;)。ともあれそれだけ登 場してるなら1巻であまり明かされないのも仕方ないかもしれない。今回一気に出して徐 々に小出ししてゆく展開だろうからその辺は今後のお楽しみって事でしょうかね。  ただ瞳子にはわりとしっかりした描写も用意されてたんですが、個人的にはRF(レイ ド・フレーム)戦の描写以上に、そこに至るまでD班メンバーが試行錯誤でガンヒルダを 仕上げてゆく過程の描写がもっと見たかったので、そこにガンヒルダの設計主任である瞳 子の心情を盛り込んでくれれば良かったのになぁという気持ちでした。  RFの設定は、架空か事実か専門分野的な所は「よく分からん」で読んでましたが、か なり細かい部分まで丁寧に練られていて、それが延々と説明するような書き方ではなくて 読んでる内に自然に頭に入ってくる。小難しくならず理解し易いのは良かったです。  これが普通の学校で行われてるようなものと同じ扱いとなる専門学校での中間試験だと いうのが面白いなと感じました。もっとも、読んでる内にRF戦の激しさが増すと段々そ うは思えなくなってくるんですが。生徒同士の関わりを見せる学園風景の描写は相変わら ずうまいですね。ランブルフィッシュの意味になるほどぉ〜でしたが、まだ1巻時点では 沙樹と瞳子はつがいで飼っても共食いしそうな関係だけど、最初から同居で意識し合って ギクシャクするよりは、この2人みたく喧嘩し合うサッパリした関係の方がいいのかなっ て気がしました。まあずっと意識しないでそのままってのは詰まんないですが(笑)。
2002/03/12(火)総理大臣のえる! 乙女の怒りは最終兵器
(刊行年月 H14.03)★★★★ [著者:あすか正太/イラスト:剣康之/角川書店 角川スニーカー文庫]  シリーズ第3巻。たとえ架空の物語とは言え、米国同時多発テロを題材に「もしのえる が総理だったらこの問題にどう立ち向かうか?」をテーマとして掲げている今回は相当に 際どく危険な内容で、よくOKが出て執筆&刊行までに至ったなというのが正直な感想で す。それでも1巻で思ったのと同様に、あとがきから著者のあすか正太さんの書きたい事 への「信念」みたいなものが凄く伝わってきたんですよね。  考えてみれば中学生の少女を総理大臣に据えて物語を構築する自体が突拍子もない事な らば、それに付随させて突拍子もない題材を重ねた程度では物語の根幹――のえるがいつ も通り好きな事をやりたいように貫き通す「信念」は絶対に揺るがないのかなと。  現実味帯びた重い題材で描いてるだけに、前巻まででイマイチと感じていたストーリー 立ては、こういうのが見たかったんだという感じで比較にならないくらい良かったです。  その分内容が内容なだけに、のえるが世界規模で本能の赴くままに行動する様は一緒で もそのどれもがシリアスなもので、笑いを誘うような部分はさすがにシャレにならんので 形を潜めてたようですが。これが物足りないと感じるから、やっぱりのえるの底抜けな明 るさがこの物語の中で大きな存在なんだなと改めて感じさせられました。  前巻まではストーリーが立たずともキャラが(というよりのえるが)見事に立ってたけ ど、今回はストーリーに重きを置いていたから仕方ないけどのえるの元気で明るい部分が 犠牲になってしまったというとこでしょうかね。ついでに健太もほのかも学校のクラスメ イト達もさくら先生も出番が少なめだったけど、その削られた分を補ってのえるの心情を 描く事にしっかり費やしている所は本当にうまいなと思いました。  サラに向ける想いの数々、かき混ぜるだけで何も解決出来ない自分自身の無力に対する 憤り、そして言っても聞かない大人達に爆発させる怒り……と、のえるの気持ち全てが今 回はもう凄く良かったです。次巻は総理奪還を軸に楽しい話となるそうで、今回溜まった 鬱憤を思いっきりのえるに晴らして欲しいもんです(笑)。  既刊感想:
彼女がもってる核ボタン       恋する国家権力 2002/03/11(月)総理大臣のえる! 恋する国家権力
(刊行年月 H13.12)★★★☆ [著者:あすか正太/イラスト:剣康之/角川書店 角川スニーカー文庫]  シリーズ第2巻。前巻で折原のえるが8月1日から黒猫悪魔メフィより与えられた1ヵ 月願い事無償お試し期間は、総理大臣という肩書きを最大限に利用した『八月延長法(九 月以降の月を廃止するもの)』の施行というかなり卑怯かつ無茶苦茶な手法で無期限延長 され、彼女は総理の椅子に居座り続けて現在に至ってます。これに限らず健太が万引きし た本だとか忍の事だとか前回からの引継ぎがさり気ない所でツボだったりしましたが、役 割としては重要な位置付けであろうはずのメフィの描写がほとんど無いのがなぁ……欲求 不満ってやつでしょうかね。まあお試し期間が継続中の間は静観を決め込んでるようなの で、メフィが動くとすればのえるのその効力が切れた時かもしれませんが。  今回はのえると新キャラのシャイニィに健太が奴隷同然に弄ばれてる所がメインであっ て見所(笑)。のえるとの掛け合いで、意志薄弱を絵に描いたような健太の情けなさぶり がこれでもかと発揮されてるのは相変わらず楽しいです。ただシャイニィにも振られてほ のかにも微かに揺れてというのがあると、まだ辛うじて許容範囲だけどあと少しで健太が 「楽しい奴」から「イラつく奴」に転じるかも知れず。のえるの傍若無人な行為が健太の 見る目を曇らせてる部分もあるんだけど、最初からのえるは本心で好きと言ってるんだか ら破天荒な行為に隠れてても、早く健太に気付いて欲しい……てのが勝手な個人的希望。 気絶してて聞けなかったとは言え、のえるに「優先順位はいつだって健ちゃんが一番だよ」 と言わしめたんだからさっさと気付けと言いたくもなるってもんです(^^;)。  ストーリー展開は、やっぱりメインで展開してもおかしくないアルカンダラお家騒動が どうにもとってつけたような印象で、アルリオンってキャラクターも少々見せ場が足りな かったかなぁという気がしました。つまりこの物語はどうやってものえるの突飛な行動を 読むのが一番楽しめるって事なのでしょうか?(笑) それでも、のえるとシャイニィと の「文化祭奴隷健太争奪戦」はやってる事滅茶苦茶でも展開としては印象に残ったし、最 後にちゃんとキメるとこはビシッとキメるのえるも彼女らしさが出てて良かったです。  既刊感想:
彼女がもってる核ボタン


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