NOVEL REVIEW
<2002年05月[中盤]>
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05/20 『ぴたテン1 ちょっと昔の過ごし方』 著者:落合ゆかり/電撃G's文庫
05/20 『東京タブロイド5 天空抱く賢者の楽園』 著者:水城正太郎/富士見ミステリー文庫
05/19 『東京タブロイド4 黄泉近き神を継ぐ里』 著者:水城正太郎/富士見ミステリー文庫
05/15 『東京タブロイド3 紅い星より来る使者』 著者:水城正太郎/富士見ミステリー文庫
05/14 『Mr.サイレント 仮想世界の優しい奇跡』 著者:早見裕司/富士見ミステリー文庫
05/13 『アンダーヘヴン −RYO− 翼の境界線』 著者:三田誠/富士見ミステリー文庫
05/12 『硝子ノ音色1 蒼い波紋のラプソディ』 著者:金巻兼一/富士見ミステリー文庫
05/11 『チキチキのわ〜る烈風伝!! 1 ショットガンマリッジ』 著者:嬉野秋彦/ファミ通文庫


2002/05/20(月)ぴたテン1 ちょっと昔の過ごし方

(刊行年月 H14.03)★★★★ [著者:落合ゆかり/原作・表紙&口絵イラスト:コゲとんぼ          /本文イラスト:山口りな/メディアワークス 電撃G's文庫] ・友だちのつくり方  湖太郎、小星、天の仲良しトリオの出会いのお話。幼稚園時代の湖太郎が悪戯好きの問 題児ってのは現在の性格から考えるとかなり意外でしたが、そこから変わってしまった悲 しい原因で納得。天がまるで母さんが天国から紹介してくれた友達のようだ、と湖太郎が 思うシーンにじんわりときました。小星が湖太郎一筋で好きになってしまう過程は典型的 だけど初々しくて良かったです。 ・天界での笑い方  美沙が湖太郎出会う前……最低ランクの存在から天使としての自信を取り戻すべく、う さぎの天使と天界で試験を受けるというお話。美沙の服が天使にそぐわない黒っぽい理由 は何となく分かったけど犯してしまった禁忌の事が分からなかった。これはまだ全部読ん でない原作コミックの方に描かれてるのかな? 孤独な存在での誤魔化しの「てひひひ」 笑いはもの凄く胸にくるものがあって痛かった。でもだからこそ試練を乗り越えた時の心 からの「てひひひ」笑いが際立ってて印象に残りました。 ・人間界での出会い方  人間界にやってきたばかりの紫亜と、ひょんな事から知り合った下町のとある一家との 触れ合い。一時の同居生活を描いたお話。これも原作コミックの方で描かれてるのかそれ ともまだ明かされてないのか、紫亜の探し物や人間界に来た理由そのものが分からない。 けど内容的にはほのぼの〜な感じが一番好きでした。一家に一人、紫亜が欲しい(笑)。 ・ライバルの倒し方  大が勝手にライバル視してる天の学校に転校してくる経緯を語ったお話。↑の三つとは 明らかに違う傾向で笑わせてもらいました。無理に良く言えば他人に影響されない、しか し大部分の人から見たら他人の話を聞きやがらない超自己中な性格の大。実際関わるとこ れほど迷惑な奴もそういないだろうけど、他人として端から見たらこれほど面白い奴もそ うはいないだろう(笑)。いや、かなり濃いキャラだけどいい味出てますホント。  ……てな具合でアニメ見てハマってしまい、集めようと思った原作コミックの脇に小説 版もちょこんと置いてあったのでついつい買ってしまいました(笑)。なので原作コミッ ク&アニメを先に見てるという前提での感想となります。  タイトル通り美沙が湖太郎やみんなと出会う少し昔のエピソードが中心。小説版から入 っても問題ないとは思いますが、先にコミックやアニメで知識仕入れてると小説版の過去 話がじわりと効いて一層楽しめるんではないでしょうか。
2002/05/20(月)東京タブロイド5 天空抱く賢者の楽園
(刊行年月 H14.04)★★★★ [著者:水城正太郎/イラスト:しのざきあきら/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  奇数巻が推理謎解き控え目でオカルト超常現象としてのミステリーを前面に押し出して るのに対して、偶数巻が殺人トリック謎解きメインのミステリーというは意図的にそうし てるのかどうか。それはさておきこのシリーズ、私は屋内で推理やってるより謎の手掛か りを追って屋外を駆け回ってるシーンの方が断然好きなので、そう言った意味では奇数巻 の話が嗜好に合ってるのかもしれない。今回は特に好みの色が強くて、真相の手掛かり求 めて東奔西走する冒険活劇っぽい内容がなかなか面白かったです。  もっとも、巨大蜘蛛ロボットなんてのが出て来てしまって昭和29年って年代を全然感 じられなかったのはどうかと思ったけど。猟奇王も遊馬と敵対してるように見えて実は共 闘してる事が多いので、たまには真剣な対決を……と望むのは無謀なのかな(^^;)。  前巻は脇キャラでキザイアが出張ってましたが今度は昭奈。ん〜自分で天才とのたまっ ても嫌味に聞こえない所は役得というか。それすらも本当の姿を隠そうとする振舞いに見 えましたが、今回の事件を通じて少なくとも遊馬に対しては年相応な自分を曝け出せるよ うになって、やっぱりそういう姿って本当に可愛いです。しかしまだ遊馬を巡って麻衣子 と……なんて風にはならんでしょうが(笑)。  超常現象がメインとなるならサブタイトルから「楽園とは空に浮かぶ島?」とか思って たんですが、さすがにそれは安直な想像だったようで。大体そこまでいくと某作品と類似 し過ぎもいいところだろうしなぁ。語られてたのは求める楽園が天空の彼方に存在するっ て意味で、夢を追うのも純粋過ぎるとやがて狂気へと変貌してしまう悲しさとかやるせな さみたいなものを感じさせられました。  そんな中で遊馬が自ら信じる正義を貫く事は必ずしも良い結果ばかりをもたらす訳では ない、と気付き始めたのは3巻あたりからだったかな? そんな思いから度々決断に迷い を生じさせる遊馬ですが、やっぱり彼の葛藤を吹っ切って正しい方向へ導く役割を一番担 ってるのは麻衣子でしょうかね。そのあたりの心情がうまく描けてたと思います。  既刊感想:
2002/05/19(日)東京タブロイド4 黄泉近き神を継ぐ里
(刊行年月 H13.12)★★★ [著者:水城正太郎/イラスト:しのざきあきら/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  今回は山奥の旧家が舞台といういかにもそれっぽいシチュエーションでしたが、不気味 で重苦しい空気が漂うような雰囲気とか、その辺はなかなかうまく描けてたんではないか なと思います。  真犯人やトリック探しながら考えて読むよりは、遊馬の行動心理をじっくり追って読ん だ方が楽しめるのかも。これは今回に限って感じた事じゃないんですが、どうも力の入れ 具合がミステリーじゃなく昭和29〜30年を舞台にした冒険活劇を見せる方に向いてる ような気がずっとしていたので。とは言っても今回は内容の良し悪しはおいとくとしても、 閉鎖的な感覚からミステリーの要素を色濃く感じられましたが。  ただ気になるのは、このシリーズは妖怪の類である山姥とか座敷童などのオカルト要素 が知られてないだけで本当は実在するものとして描かれてるような節があるので、どうも 実際のものと非現実的なものが混同していて現実味が薄れてしまう事。実は話に出てくる 山姥と座敷童はちゃんと現実のものとしての説明が用意されてるのですが、実行不可能な 事も何でも出来てしまえそうな印象も持ってしまったので。  結局良くも悪くもキザイアの言動に振り回されてしまったという感じ。なんせ本人全て 本気で大真面目な発言してるつもりなんだろうけど、推理にしても謎解きにしても真実と 冗談の判断がつき難いんだもんなー(笑)。言葉の端々に含むようなものを感じたのは、 おそらく彼女の過去が関係してるのかもしれないけどハッキリとは明かされなかったし。  でも今まで出番あってもエピソードが少なかった分、キザイアのキャラクター性は十二 分に発揮されてたので良かったかなと。巻を重ねる度にお互いの距離が近くなってる気が する遊馬と麻衣子の触れ合いも良い雰囲気でした。  ……しかし、前巻ラストで思わせぶりに登場した組織みたいなのは一体何だったんだろ うか。少なくとも今回の話の中では登場もしなければ触れられてもいなかったぞ(^^;)。 次以降で関わってくるのかな?  既刊感想:
2002/05/15(水)東京タブロイド3 紅い星より来る使者
(刊行年月 H13.10)★★★☆ [著者:水城正太郎/イラスト:しのざきあきら/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  何となく富士見ミステリーの看板作品のひとつというイメージがある東京タブロイド。 気が付けば5巻まで刊行されていたので止まってた3巻目から再び読み進め。  確か2巻までの遊馬はミイラ死体の謎を追ったり館の中での殺人事件に巻き込まれたり と、東京タブロイド紙というオカルトや超常現象などのゴシップネタを扱う新聞を発行し てる新聞社に勤めてるわりに、そっち方面はそれ程目立たなくてどちらかと言えばちゃん とした推理がメインだった気がします。  それに対して今回はのっけから火星人だのUFO目撃だの、明らかにオカルトや超常現 象の方をミステリーとして扱っていたので、謎解き推理部分は少々弱めだったかも。  ただ、本当に火星人でUFOなのだろうかと信念をぐらつかせつつも崩そうと頑張る遊 馬の姿は良かった。何より一番の原動力が麻衣子を想い救う事にある所などは、普段喧嘩 しててもやっぱりこの二人には強い絆があっていいな〜と感じました。  2巻までで残念に思ってたもののひとつに、遊馬と麻衣子以外の東京社会新聞社のメン バーに全然見せ場が与えられてないって事があったのですが、今回は蘭も明もキザイアも 昭奈もそれぞれしっかりと役割が描かれてたので概ね満足出来ました。その分煽りを食っ てしまったのが最後までさらわれていた麻衣子かな。まあ出番の少なくても美味しい所は しっかり遊馬と分け合ってるのでいいんじゃないかとも思いましたが。  美味しい見せ場っていうと今回の一番は猟奇王でしたかね〜。正直こいつが遊馬と一時 休戦共闘組むのも終始活躍してたのも意外な感じでした(ちょこっと登場する端役のやら れキャラという認識だったもんで(笑))。口癖のように猟奇王が言ってる「猟奇的」が =「自分の嗜好に合ったもの」としか思えないのですが、指す所の意味がよく分からん事 もあったりして(^^;)。どうやら今後も出番は順当に増えてるらしいので、彼の行動理 念についてや事件と遊馬との関わりなどが今後楽しみな所。  既刊感想:
2002/05/14(火)Mr.サイレント 仮想世界の優しい奇跡
(刊行年月 H14.04)★★★☆ [著者:早見裕司/イラスト:唯月一/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  インターネットを通じての、わりと日常的な所から発展しそうな事件を中心に描いてる ので、なんか他人事と思えない部分から興味を引かれて面白かったです。ネットはまあ当 然として、他に例えばサイト構成のソースとかタグとか事件に絡んだ書評サイトの批評と か(ここが特に親近感を覚えてしまった(笑))、それからファンサイトのチャット―― 作中では横溝正史ファンサイトだった――とかそのメンバーでのオフ会とかインターネッ トオークションとか……おそらく自分のでパソコン所有しててネットやっててこの感想を 見れるくらいの人ならば、少しは現実に近いものを感じられるんじゃないかなと。  実際2話目のオフ会話に登場するチャットメンバーのハンドルネームは現実にあったも のを拝借したり、3話目のインターネットオークションのハマリ具合などは著者の実体験 を元にしてるそうで、その辺がリアルに感じられる所以なのかもしれない。  肝心のミステリー部分は、少なくとも↓の2作よりはちゃんとそれっぽい感じがしてた んでちょっとホッとしました(笑)。まあ本格推理などではなく、御多分に漏れず富士見 ミステリーの傾向に沿った軽めの内容と言ったとこですが。事故で声を失いながらも鋭い 洞察力を持つ晋一郎の深い読みは、なかなか読み手を引き付けるものがあって良かった。  しかし晋一郎の声が出せないという設定をあまり活かし切れてないなと感じたのも確か で、手話でどれだけの早さで会話出来るのかは分からないけど、特に真理香とのやり取り での台詞の多さからは全然声を失ってしまった事で負っているハンデというものを感じら れなかった。ただ台詞の「」を晋一郎の場合『』に変えるだけでしか声が出せない事を表 現してない気がしたので、折角の文章媒体なんだから喋りは通訳の真理香に任せて、晋一 郎は台詞ではなく動作や仕草の描写でもっと黙して語らずを表現して欲しかった。  残念だったのはその辺りと、あとは引き篭もりのぼんぼんで人間嫌いで他人との関わり を極力避けたがるインターネットと編物が趣味という主人公の晋一郎に、あまり感情移入 出来なかった所でしょうか。現実では極力関わり合いを遠慮したいタイプ(^^;)。
2002/05/13(月)アンダーヘヴン −RYO− 翼の境界線
(刊行年月 H14.04)★★★☆ [著者:三田誠/イラスト:堤利一郎/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  見上げればごつごつした岩盤だけが広がる地下世界ヒドゥンで、かつて記憶が霞む程の 幼い頃に話を聞かされた、地上時代と呼ばれた世界の崩壊と共に人々が失った空の色に想 いを馳せていた<悪魔>と呼ばれる少年と、実質地下世界を管理してるとされる<天使庁>か ら任務遂行の為にやって来た<天使>の少女との出会いから始まる物語。  設定としてはよくある部分が多いかなという印象。でも犯罪が絶えず治安の良くない地 下世界で殺し屋をやっている壬生塚リョウが、成り行きで関わってしまった天使で二面性 を内包してる少女ユラシエルと触れ合う事で、これまで他人を拒絶する事しか出来なかっ た生き方に変化を及ぼす過程などはうまく描けてると思いました。アクションシーンの描 写も結構良かったし、リョウやユラや他のキャラクター達もしっかりストーリーに絡ませ る事で魅力的に感じられたし、地上世界の事や天使達についての謎は残されたけど盛り上 がりのある展開も悪くなかったし。  ただ、どーしても声を大にして言いたい「これミステリーじゃねーよ」と(笑)。もう 潔い良さもここまで来ると清々しく感じてしまうくらいのミステリ放棄っぷりでしたが、 仮にも富士見ミステリーと名の付く所から刊行してるんだからさ〜(^^;)。というより 内容的には富士見ファンタジアで出した方が合ってたんではないだろか。  天使の行動に制約をかける働きを持つ《天使三原則》の謎を巡り、堕天使ラハドが《天 使三原則》制約を受けずに行動出来ていたトリックを解くという部分だけ、辛うじてミス テリしてたかも。と思いながらも、他のファンタジー小説だって伏線張りつつこれだけの 謎を含ませた作品は幾らでもあるだろうしなぁと。  どう読んでもミステリーの枠には括れないってのに、物語自体は結構楽しめたというの が更に質悪い(笑)。続きがあったらやっぱり微かにミステリーっぽい事やって、メイン の大半は異世界ファンタジー色になるんだろか? 結局ミステリーと考えなければいいだ けの事だけど、それはそれでミステリー文庫から出す意義が感じられないのはどうかと思 うし……む〜ん、まあこれ以上こちゃごちゃ言うのはもしも続編出たらにしよ(笑)。
2002/05/12(日)硝子ノ音色1 蒼い波紋のラプソディ
(刊行年月 H14.04)★★★ [著者:金巻兼一/写真:下田正美/イラスト:いとうたけひこ/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  フィルムの効果音を作り出す『音響効果(SE)』を生業としてる祖父の姿に影響され て、幼い頃から自然とSEの仕事を覚え、いつのまにかそれが学業を片手間に生活の一部 となってしまっていた主人公・初音響樹。彼は度重なる祖父・元次郎との衝突から、気が 付けば音響効果マンとして歩む事を決定付けられたような現状に疑問を抱き始め、辞める と告げようとした矢先に舞い込んできた映画の仕事のトラブルに巻き込まれ、更に私生活 で幼馴染みの道明多笑との微妙な関係に戸惑い悩み続けてゆく……というお話。  何となく流されるままに続けてる音響効果の仕事が本当に自分のやりたい事なのかと、 元次郎との衝突から苛立ち葛藤する響樹の等身大な姿が実にリアルに描かれていて良かっ た。読んだ感じでは、音響効果の仕事に携わりつつどう進むべきか迷い葛藤しながら少し ずつ成長する彼の心の動きが一番書きたかった事なのかなと。  他にも仕事が絡んだ人間関係のトラブルに立ち向かおうとしても、どうにも出来ない無 力さに自己嫌悪で苛立つ姿とか、幼馴染みの多笑に対してそれまでの気持ち以上の感情を 抱き始めて持て余す姿とか、お約束っぽい所もあったけど感情がよく伝わってきました。  本作ではアニメーション映画制作の音響効果の仕事として描かれてましたが、知らない 人でも「なるほどこういう事をするのか〜」と感じられるくらいにはしっかり書かれてた んではないかなと思います。個人的には仕事関係で起こってるトラブルの描写などを削っ て、もっと突っ込んだ音響効果マンとしての仕事ぶりを盛り込んで欲しかったなぁという 気持ちだったのですが(実際に自然の音を録るシーンが妙に気に入ってしまったので)。  ……しかし問題があるとすれば全然ミステリしてないって事でしょうかね(笑)。ま、 富士見ミステリーはこういう作風が多いので毎度の事とあまり気にしちゃいませんが、そ こら辺に目を瞑れば内容的には結構面白いと感じられるのではないでしょうか。
2002/05/11(土)チキチキのわ〜る烈風伝!! 1 ショットガンマリッジ
(刊行年月 H14.04)★★★★ [著者:嬉野秋彦/イラスト:せたのりやす/エンターブレイン ファミ通文庫]  角川スニーカーの方でやってた『チキチキ美少女神仙伝!』シリーズの姉妹編という位 置付けの本作。あっちは淑芳・麗芳の双子姉妹が主人公だったけど、その双子におもちゃ 扱いされてた鳳月がこっちの主役を張ってます。神将になり立ての初仕事って事だから時 間的には双子と出会う前に遡った過去の話になるのかな。そういや途中で読まなくなって 真偽の程は定かじゃないですが、確かあっちのシリーズもちゃんと完結はしてなかったよ うな気が……。だから単に引っ越しただけなのか思いきやそうではないようで。  話の展開自体はハッキリ言って大した事なかったですが(笑)、キャラクターの印象付 けに関しては抜群のうまさを感じました。たとえやってる事の内容を忘れてしまっても、 1度読めば主要キャラクターの印象はしっかり頭に根付いてしまうと。この中では作中終 始描かれていた鳳月と星秀の低レベルな罵り合いが1番効いてるかと思います。  もっとも裏を返せばそこがメインでただひたすらに罵り合いしかやってないようにも見 えてしまい、鳳月と星秀のボケツッコミな会話の繰り返しが面白く楽しいと感じるか途中 でウンザリ感じてしまうかで感想評価が違ったものになってくるんではないでしょうか。 (ちなみに私は飽きずに笑ってたので前者寄りで面白かった、な感想でした)。    それからあとがきで次巻に淑芳・麗芳が登場するとか何とかほのめかした部分がありま したが、しかしそれだと『チキチキ美少女神仙伝!』と同じものになってしまうんでは?   しかも鳳月に巡ってきた主役の座まで双子によって引きずり下ろされてしまう気がして るのは私だけだろか(笑)。……まあんな事はないでしょうが、やっぱり双子姉妹が登場 してくれたら嬉しいかなぁ。それでもあくまでこっちの主役は鳳月&星秀のコンビでやっ て欲しい。今回逃げた香恋奴もレギュラー化しそうで物語にどう関わってくるのやら。


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