NOVEL REVIEW
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05/31 『流血女神伝 砂の覇王3』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
05/31 『流血女神伝 砂の覇王2』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
05/30 『流血女神伝 砂の覇王1』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
05/28 『流血女神伝 帝国の娘(後編)』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
05/27 『流血女神伝 帝国の娘(前編)』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
05/26 『天国に涙はいらない6 狐の夜滅入り』 著者:佐藤ケイ/電撃文庫
05/22 『天国に涙はいらない5 逝き女五枚羽子板』 著者:佐藤ケイ/電撃文庫
05/21 『天国に涙はいらない4 男色一代男』 著者:佐藤ケイ/電撃文庫


2002/05/31(金)流血女神伝 砂の覇王3

(刊行年月 2000.11)★★★★ [著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/集英社 コバルト文庫]  砂漠の国エティカヤ編3巻目。もう表紙のインパクトが強過ぎて……(4巻のあとがき によると太陽に乾杯だそうな)。バルアンって実際はまだ年若いんだろうけど、挿絵によ っては若く見えたり中年のおっさんに見えたりしてしまうのって私だけだろか?(笑)  そんな素敵な表紙イラストに後押しされてたのかどうか、今回のエティカヤ方面はまさ しくバルアンの為にあるような展開だったかも。前巻で好印象持ってしまったのもあって か彼の魅力全開に感じられました。己の欲望に正直でそれを隠さず曝け出し、考えも行動 も予測が難しく飄々としてるわりには心底でしっかり計算が働いており、そして人を殺す 事を躊躇わない残酷さも常に持ち合わせていながら、それでも周りの人達は惹かれてしま う。そこが彼の資質なのではないかなと。いや〜益々バルアンが気に入ってしまった(^^;)。  カリエも大胆な行動力を発揮してくれて、バルアンの所有物なのは変わらずだけどそれ でも立場が二転三転する辺りは飽きがこないどころか、どうにも先を気にさせる展開続き な描き方はうまいなーと唸らされてしまいます。  後宮に入ったばかりの頃を思うと、それに比べれば大分マシな立場を掴んだと言えるか な? もっとも、表向きは後宮で存在が抹消されてるうえに本来男が務めるバルアンの小 姓になってしまったので、後宮にいた時より余計にバルアンの「おもちゃ」的扱いを受け てるような気がしないでもないけど(笑)。興味を持たれているのは確かで、そんな中で の二人の会話は面白いものでした。  ドーンとグラーシカの方もいよいよ婚礼の準備段階。ロゴナ宮でのドーンと四公(とり わけ西公)との衝突というか腹の探り合いや、ユリ・スカナからルトヴィアへ嫁ぐグラー シカの別れの心情など相変わらずうまく描かれていて引き込まれました。まあこの二人の 場合は問題に直面したとしても安心して読んでいられるというか、絶対大丈夫だっていう 確固たる自信が感じられるんですよね。  今回ラストでバルアンと敵対するヤー・マヤル(第一王子)シャイハンも登場し、いよ いよエティカヤとルトヴィアの二つの視点が交差する日も近いかなと思うと今後の展開が 益々楽しみです。  ……そういや久し振りにサルベーンやミュカの名前が出てきた事で「帝国の娘」編の出 来事が無性に懐かしくなってしまいました。かつてカリエがアルゼウスに扮した時の愛馬 ポレナがこんな風に巡ったのはちょっと嬉しかった。まだ病床の身らしいミュカも、いず れは復帰して元気な姿を見せて欲しいなぁ。  既刊感想:帝国の娘 
前編後編       砂の覇王  2002/05/31(金)流血女神伝 砂の覇王2
(刊行年月 2000.05)★★★★ [著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/集英社 コバルト文庫]  砂漠の国エティカヤ編の2巻目。表紙のカリエとサジェの火花散らし合いがそのまま本 編の内容を示してる感じ。今回からエティカヤのセガン・マヤル(第二王子の意)バルア ンも登場し、実質彼の所有物と成り下がってしまったカリエが後宮でサジェや他の女達と 競いながら、自分と何よりエドの為に妃妾を目指そうと頑張る姿が印象的でした。  が、しかし品定めと称してサジェと共にバルアンの前に立たされた時までは後宮の華や かさとか妖艶さなどの雰囲気も結構感じられてたんですが……その後のカリエの辿る道が また例によって浮き沈みの激しい事。訳の分からぬまま投獄させられたり、意外な所から 救いの手が差し伸べられたと思った矢先に覚えの無い濡れ衣を着せられたり。ただ受難続 きのカリエには悪いけど浮き沈みの激しい展開は退屈する事がないので面白い(^^;)。  バルアンの印象は今の所表面通りのすちゃらか王子にしか見えない(笑)。でも何を考 えてるのかよく分からず、どう行動するのかまるで予測のつかない辺りは気になって興味 を引かせてくれるキャラクターでもある。個人的には感情表現の乏しいエドや裏じゃ何を 抱えてんのか得体の知れないサルベーンより、己の欲望と本能のままに行動も感情も表に 曝け出しているバルアンのようなキャラが好きです。もっとも彼も本心はおちゃらけた表 層の奥にうまく隠してるような感はありますが。今後バルアンは物語の中心を担っていく だろうから、しばらく彼の行動心理に目が離せなさそう。  エドは脇に寄せられてしまった感じでしたが、それでもカリエとの再会と会話シーンは 読んでいて心が和みました(カリエを気に掛けてるのは心配だからじゃなく自分の落ち度 だからと言い張る所がエドらしい)。相変わらずエドはぶっきらぼうだけど、カリエとの 会話からやっぱり二人はどこかで強く結びついてるんだな〜と思わされました。  そして「一方その頃……」という感じで今回も描かれてるドーンとグラーシカの様子。 一応互いの伴侶を見定める見合いのようなもの……をやってるようには全然会話から感じ られないのがこの二人らしいというか。いきなり強さを確かめる為に剣を合わせたりして るし(笑)。でも逆にそういう枠に捕われない所が魅力的に感じられて良いですな。  こうして毎回ロゴナ宮やユリ・スカナでのエピソードを入れるという事は、再びカリエ との邂逅点があるのかどうか? この辺も今後の展開が気になる所。  既刊感想:帝国の娘 
前編後編       砂の覇王  2002/05/30(木)流血女神伝 砂の覇王1
(刊行年月 2000.03)★★★★ [著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/集英社 コバルト文庫]  今回から新展開で、ルトヴィアの東方――砂の国エティカヤ編のプロローグとも言える 内容。ページ数は少々抑え気味ながら中身の充実感はたっぷりで前回までと同様読み応え ありました。まあカバー折り返しのあらすじに目を通しただけでもカリエとエドの行く先 が前途多難だというのは容易に窺い知れたわけですが……折角カリエは女の子の姿に戻っ たばかりだというに、こんなどん底に落とされる展開が待っていようとは(^^;)。つく づく平穏無事という言葉を受け入れられない質というか。もっとも、これが先に用意され た道へ続く運命の転換の始まりと考えると興味深くて面白かったりするのですが。    エドにとっては笑い事じゃなくホントに災難な状況だったけど、病気を押してまでカリ エを助けようとしたシーンはちょっとエドの好感度上昇で良かったかな。結局サジェを道 連れにする形でエドもカリエと同じ道を辿る事となってしまったけれども、それでもあま り雰囲気が重く暗く感じないのは、ひとえに最悪寸前の状況の中で絶望しかけても最後の 最後では決して屈しないカリエの明るさと前向きさがあるからだと思います。ただ決して 強いわけではなくて何度も挫けそうになってしまう危うさもあるんですが、やっぱりそう いった部分も含めてカリエには強く惹かれてしまいます。  一方、中継ぎ的な構成で描かれてるドーンとグラーシカもこれから先へ向けての準備段 階といった所。カリエを中心に据えては見れない部分がこの二人のエピソードであって、 丁度真ん中に挟む事で中だるみを解消しているような(というのはちと考え過ぎかもしれ ないけど)。読んでてそんな風に工夫しているように感じられたので。こちら側の今後の 動きも気になる所です。  ……しかし、グラーシカとイーダルの挿絵は見事に性別が逆転してるなぁ(笑)。  既刊感想:帝国の娘 
前編後編 2002/05/28(火)流血女神伝 帝国の娘(後編)
(刊行年月 1999.09)★★★★☆ [著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/集英社 コバルト文庫]  これから続く本編に対して序章のような位置付けにもかかわらず、非常に密度の濃い内 容で面白かった。砂の覇王編を読み進めてる最中での感想なもんで、作中でも懐かしさに 浸るほど時が経ってるわけでもないのにもう懐かしくて懐かしくて。ここから先のカリエ の境遇を知ってるだけに、カデーレの皇子宮に入ったばかりでカリエがミュカに受けた悪 戯なんていかに可愛いものだったかと思わされてしまった。  カデーレ皇子宮でアルゼウス皇子の影武者としてカリエが初めて顔を合わせた3人の皇 子。前編で感じたキャラクター描写のうまさは確かだったようで、いずれも劣らず魅力的 に描かれていて良かった。この物語はそれぞれの会話から思考や感情が物凄く伝わってく るので読んでいて面白くまた引き込まれてしまう。今回特に強い意志と説得力を感じたの はドーンの酒場での言葉からかな。彼に抱いてたイメージが変化したのもここだったし。  でも3皇子の中で一番好きなのは断然ミュカですが(^^;)。最初はいけ好かないガキ としか思ってなかったんだけど、カリエと喧嘩して張り合う度にまるで水を得た魚のよう に剣術でも学問でも吸収しようと躍起になって、徐々に才覚を現してゆく過程がいいなぁ と気が付けばミュカを好意的に見てる自分がいました(笑)。だからカリエとも王位を競 い合いながらもいいコンビになりそうだと思ってたのに……ああ、ミュカ〜〜。  終盤の真相による結末も悲しいものでしたが、ミュカの事は感情移入が深かったので同 等かそれ以上でした。ただ、彼の場合はまだ先が閉ざされたわけじゃないので是非とも再 登場を期待して待ちたいです。  そしてサルベーンはどんどんキナ臭い人になっていってしまい、ドーンとはまた違う意 味で前編とは大分抱いてたイメージが変わってしまった(^^;)。何だか自分に惚れてる カリエを手玉にとって欺いてるような感じがして……まあそこら辺の謎な部分が魅力だと 言う事も出来るんですが。初登場のラクリゼと彼との関係も二人の間で語られたカリエの 出生の秘密も今の所は先の展開の伏線でしょうかね。ザカール人と、タイトルにもなって るザカリア流血女神の存在が今後大きく関わってゆくのかどうか気になる所です。  既刊感想:帝国の娘 
前編 2002/05/27(月)流血女神伝 帝国の娘(前編)
(刊行年月 1999.07)★★★★ [著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/集英社 コバルト文庫]  一介の村娘であるカリエはある冬の日の狩りの途中で突然エディアルドと名乗る男に攫 われ、その容姿が病床のルトヴィア帝国次期皇帝継承権を持つ第三皇子アルゼウスと酷似 してるという理由のみで、皇子の祖父ゼカロ公爵と母フリアナ皇妃により皇子の影武者と して生きる事を強要させられてしまう……という冒頭を読んでた感じで、どうもカリエの 拉致監禁&調教物語という言葉がしばらく頭を離れなかったですが(笑)、これは内容的 に変な意味ではなくてあながち間違った解釈でもないのかなと。  まだ序盤も序盤なので主要キャラはカリエとエド、それから本当のアルゼウス皇子にユ リ・スカナの第二王女グラーシカと彼女に従えるサルベーンくらいなものですが、誰もが 凄く魅力的に描かれていて目移りしてしまう〜。会話の進め方がうまく台詞のひとつひと つに感じるものが結構あって、そこからぐいぐい惹かれてしまいました。  それとあとがきで書かれてましたが、デビューよりずっと以前から漠然と考えていた物 語でそこから詳細な年表や地図が確立されたそうな。なので架空歴史ながら設定が非常に 深くしっかり立っている為リアルに感じられる。ルトヴィアの四公の皇帝継承抗争の力関 係などは今後の展開の想像も含めて読んでいて面白かったです。  キャラクターの中で個人的にはカリエが一番好きかな。いきなりとんでもない境遇の中 に放り込まれて悲しみにくれて絶望しかけても、たとえ前に進むしか選択肢が残されてな かったとしても必死になって前向きに前向きに生き抜こうとする姿勢がいいな〜と思わさ れました。でも他のキャラもいいんだよなぁ。エドは基本的にアルゼウス崇拝だけど、ご く稀に無意識の内にカリエを影武者としてじゃなくカリエ自身として見てる姿が印象的だ ったし、男装の麗人グラーシカお姉さまは妙に言葉に説得力があってアルゼウス(カリエ) との会話で思わず引き込まれてしまったし、サルベーンは色々含む所がありそうで気にな るし……目移りしてしまったとはつまりこういう事。後編では他の皇帝継承権を持つ3人 の皇子も登場するので益々目移りする事でしょう(笑)。
2002/05/26(日)天国に涙はいらない6 狐の夜滅入り
(刊行年月 H14.05)★★★★ [著者:佐藤ケイ/イラスト:さがのあおい/メディアワークス 電撃文庫]  いち幼馴染み好きとしてはアブデルの幼馴染み論に深い感銘を受けたというか激しく同 意というか(笑)、やけにアブデルの暴走っぷりとこだわりを強く感じました。てなわけ で今回の萌えっ娘は賀茂の狐時代の幼馴染み・葉子。「ボク」女で世話焼きで好きな人に 対しては意地を張ってしまい素直になれない、とまさに絵に描いたような幼馴染みキャラ。  4,5巻の萌えっ娘は存在が地味だったり性格が稀薄だったりで自己主張が少々足らな かったかな〜と思ってたんですが、今回の葉子は3巻のみき以来のはじけっぷりが随所で 笑いを呼んで楽しかったです。賀茂を巡っての三角関係は、どう考えてもたまの性格から 火花散る展開にはなり得ないだろうと思ってたけど、葉子との張り合いは引っ込み思案な たまにしてはなかなかどうして賀茂を意識しつつ頑張ってたんじゃないだろか(もっとも アブデルや律子に唆されてる所が多分にあったけど)。珍しく中心に据えられてた賀茂自 身も目立ってたし、今後は少しずつでもたまとの関係が進展するといいなぁ。  しかし毎回アブデルのこだわりからギャルゲーの匂いを感じてたと思ったら、とうとう 今回ネタとして使ってたのにはホントによーやるよって感じでしたが。  正典に『カノン』とルビを振り、狐娘の主食は肉まんだとかプリクラで自分の写真のシ ールを作ったりとか。ネタが分かる人はにやりとなるだろうけど知らない人は何のこっち ゃかさっぱり分からんっての(笑)。あと犬チックとか「〜ちゃん」付けとかってのはも ろにTo Heartのあかりだし。ま、これらのネタを分かる人が読めばにやりとさせら れて楽しめるかも。  んで、感動的なラストを迎えたかと思いきやまた最後はこれですか(^^;)。結局受け 入れたくない境遇にも慣れてしまえばこんなもんなんだろうけど、その適応能力が極めて 葉子らしいというか。でもこれじゃ別れた賀茂の思いが全く報われない(笑)。    既刊感想:
2002/05/22(水)天国に涙はいらない5 逝き女五枚羽子板
(刊行年月 H14.01)★★★☆ [著者:佐藤ケイ/イラスト:さがのあおい/メディアワークス 電撃文庫]  最初表紙イラストや作中の雪舞うシーンなどで雪女かと思ってしまったけど、今回の萌 えっ娘は病弱な幽霊少女(って表現もなんか変だけど)。生前、たまの一番の親友で無意 識の内に垂れ流しだった彼女の妖気にやられて死んでしまった朋ちゃん。  なんか病弱無口なせいか前巻の真理子さん以上に存在が稀薄だったけど、まあ元々幽霊 だからイメージとしては実はそんな感じが結構合ってたんではないかなと。もっとも、今 回は朋ちゃんの「この世の未練探し」という従来通り萌えっ娘のエピソード中心なので、 彼女の存在感はしっかりとありましたが。  アブデルがあまり出張らなかったので萌え要素はちょっと弱めな感じ。でも朋ちゃんの 未練探しという目的の為に皆が協力していて、あまりキャラの行動が壊れてない分珍しく 穏やかでまともな展開だったかも(笑)。たまと朋ちゃんの友情物語ってとこでしょうか ね。無意識とは言え自分のせいで親友を死なせてしまった事に負い目を感じるたまと、未 練を記憶喪失で失いながら一生懸命思い出そうとする朋ちゃんが、一緒になって色々試そ うとする姿は健気で良かった。思い出した未練もやっぱりたまとの事で、何となく予想出 来ていながらこういうシーンはどうしてもじわりと来てしまいます。  ただ、その感動も最後のアブデルと閻魔大王のしょーもない萌え談義によって毎度の如 くぶち壊しだったけど(^^;)。今回は特にその落差が激しくてねぇ……まあ笑って終わ れるのも嫌いなわけじゃないんですが。結局一連の騒動を引き起こした大元は閻魔大王で あって、こんなやつが閻魔様をやってていいのか〜!? と常時アブデルにツッコミを入 れてる賀茂の気持ちがちょっとだけ分かったような気も(笑)。  既刊感想:
2002/05/21(火)天国に涙はいらない4 男色一代男
(刊行年月 H13.10)★★★☆ [著者:佐藤ケイ/イラスト:さがのあおい/メディアワークス 電撃文庫]  これも未読で溜めてたら6巻まで刊行されてたので再度読み進め。  今回の萌えっ娘は眼鏡っ娘の真理子さん。しかし世のゲーム内で氾濫する眼鏡っ娘のイ メージに沿って全然作中で目立ってないのは意図的にそうしてるのかどうか。  そもそもこれまでは1巻のたま、2巻の真央、3巻のみきと常に萌えっ娘メインで話が 進んでたのに対して今回はたまと菜間=ベリアルの悪魔親子関係の騒動がメインとなって いて、前巻までに倣うならメインになってるはずの真理子が脇に徹している。もしこれが 「眼鏡っ娘=目立たない」のイメージを際立たせる為に狙ってやってるんだとしたら、そ のこだわりとしょーもなさに拍手でも送りたいですホントに。  もっと拍手を送りたいのはアブデルですかね。毎度毎度神(と書いて美少女と読む)と いう名の萌えっ娘に対するアブデルの理念には感服するものがあります。まあこうあるべ きだ! とのたまう彼の眼鏡っ娘論に頷いてしまってる自分もどうかと思うけど(笑)。    タイトルから嫌〜な感じはしてたけど……このくらいだったら何とか。菜間の男色家と いう設定が作中で全く意味を為してない所はこのシリーズらしいというか。つまりストー リーの展開上あってもなくてもどーでもいい設定だけど、キャラのインパクトを引き出す という意味では凄まじい威力を発揮してる設定だなと(^^;)。たまに対する扱いはひで ー親父だなって印象でしたが、分かり合ってのクライマックスシーンの会話はじんわりと させられて良かったです……とか油断してたらそんな感動も最後でまんまと笑いに変わっ てしまった(笑)。ま、しんみりで終わらせないのもこのシリーズの持ち味なのかも。  しかし賀茂は巻を重ねる度に主人公という肩書きが薄れてしまってるような……。既に アブデルの突っ込み役としか機能してないのもどうかと思うので、そろそろ一発奮起で面 目躍如を図って欲しい所(と言ってもやっぱ無理だろか)。  既刊感想:


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