NOVEL REVIEW
<2004年05月[後半]>
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05/31 『スカイワード』 著者:マサト真希/電撃文庫
05/30 『ヴぁんぷ!』 著者:成田良悟/電撃文庫
05/28 『9S<ナインエス>III』 著者:葉山透/電撃文庫
05/27 『鬼神新選II 東京篇』 著者:出海まこと/電撃文庫
05/26 『TETORA』 著者:深沢美潮/電撃文庫
05/25 『護くんに女神の祝福を!3』 著者:岩田洋季/電撃文庫
05/24 『護くんに女神の祝福を!2』 著者:岩田洋季/電撃文庫
05/23 『ルナティック・ムーンIII』 著者:藤原祐/電撃文庫


2004/05/31(月)スカイワード

(刊行年月 2004.05)★★★☆ [著者:マサト真希/イラスト:橘由宇/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  電撃小説大賞の選外からの復帰作。ストーリーだけを追うなら、起承転結はしっかりし ているし盛り上がるべきポイントもしっかり押さえてあるので、デビュー作ながらよく纏 めてくれているという印象。けれども1冊で結末まで奇麗に導いていながら、謎とされて いる要素であまりに解かれていない部分が多い。読んでいて知りたいと手を伸ばして掴も うとしても、そのことごとくが避けらてしまっているようなな感触で微妙な気分でした。  そもそもアケルは何でこうまで躍起になって空へ駆け上がろうとしているのか? どう もこの動機付けが最初から弱くて疑問に感じてたんですけど、結局は“どっちつかずな自 分を何とかして変えたかった”って事なのかなぁ。「もう一度舞巫女姫が見たい」だけで はやっぱり弱い気がするし、それならナナの素性を最初にバラして「空の向こうで待って いる彼女に再び会いたい」為に追い掛ける方が燃える展開で楽しめたかも知れない。  アケルが空を目指す背景に母親の存在があるならば、この不明瞭な母の行方と過去の触 れ合いを深く描いて欲しかったし、それは『中性体』という設定に関してもアムレードの 素性に関しても同様。どれもかなり重要な位置付けなのに、ハッキリしないせいで物語に 盛り上げに反映されておらず、本来持っている筈の面白さを抑制しているのが惜しい。  一発勝負の応募作だから余計に続編狙いが垣間見えるのが気に入らなかったりするんだ けれど、もし続きがあるなら今回足りてないのは次で描いてくれたらいいかなと。部分部 分で眺めたらぐっと胸に込み上げて来るシーンも結構あったので。具体的には中性体絡み でアケルが精神的に陥れられている部分全てと、そんな傷付いた彼を思い遣るナナの姿な ど。気に入ったのは前半の最下層での共同生活。衝突しながらも和気藹々な風景は、廃都 の澱んで濁り切った空気を忘れさせてくれる程の温かさが感じられて凄く良かった。 2004/05/30(日)ヴぁんぷ!
(刊行年月 2004.05)★★★★ [著者:成田良悟/イラスト:エナミカツミ/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  機会を逃していたせいで『バッカーノ』シリーズ以外の成田作品はこれが初読。スラッ プスティックコメディな中身の雰囲気に、バラバラのピースを寄せ集めて収束させ最後に 一枚絵で仕上げるようなパズル的構成、それから固定された主人公の起用ではなく誰もが 主役に成り得るキャラクター描写、などなど至る所でバッカーノを彷彿とさせる楽しさ可 笑しさがふんだんに盛り込まれた物語。もうこの組み立ては、著者の成田さんの得意芸と 言ってしまってもいいのかも知れない。単にバッカーノが『吸血鬼版』と変化しただけじ ゃない、吸血鬼を題材にして独自のアレンジを効かせた面白さが充分感じられました。  登場キャラ全員が主人公と言いたくなるのは、確かにそれが“誰か”と決め難い所もあ るのだけれど、もっと大きいのは一つの作品を登場キャラクター達が一丸となり、物語の 成功を収めようと誰もが全力で自分の役割の演じている点。私がこの作者さんの物語を読 んで毎回魅力を感じるのがここなんですよね。ああ、この物語の奴等はこんなにも読み手 を楽しませようと頑張ってるんだなという具合で。こういう馬鹿騒ぎなノリを例えば舞台 劇なんかで見てみたい、と勝手な妄想を頭の中で想い描いてしまうのもいつもの事。    誰も彼もが好きで絞るの難しいですが、個人的には閑音が一番かな。主要キャラの誰に 対しても加害者的立場……になり損ねて、実は最も精神的に絶大なダメージを負ってしま った人。強烈な皮肉の混じったラストは強烈な印象で残った。もし続きがあるなら“彼” を地獄の果てまで追い続ける復讐者……みたいな役割を演じてみせて欲しいです。  あえて主役を選ぶなら即答でゲルハルト・フォン・バルシュタイン子爵。何せ彼は“表 紙にもカバー折り返しにも口絵の全ての頁にも我が物顔で居座っている”のだから。これ はですね、最初に読んだ時はどうしても気付なかった仕掛けで、子爵の特殊な『性質』を 最大限に活かした見事なアイディアと唸らされました。本編のストーリー内容の評価じゃ ないけど、こういう意表を突いた伏線を張ってくれるとは……ホントに凄いよ。  ヴァルの正体は、ヒントからしておそらく裏表紙イラストのスイカみたいなの。これ以 外には考えられない。確かに美味しそうだし可愛い。あとがき読んでからずっと悩んでた んだけど、これは他の登場人物の誰かと考えていると深みにハマってしまうだろうなと。 2004/05/28(金)9S<ナインエス>III
(刊行年月 2004.05)★★★★ [著者:葉山透/イラスト:山本ヤマト/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  これまでと比べて規模の広がりが顕著な前後編構成の前半戦。皆が躍起になって追って いる【天国の門】の本質がまだハッキリと明かされていない謎含みな点、それから誰と誰 がぶつかって未来がどう転ぶか先読みし難い展開など、知りたい事は結構次巻へ持ち越さ れていた為に様子見の保留気味という意識。けれども1冊で収まり切らなかったスケール の大きなエピソードは、中身の密度も濃く読み応えも充分に感じられて面白かったです。  峰島勇次郎の遺産絡みで、お互いの立場のせいもあって何となく牽制し合いながら直接 的には交わりの薄かった勢力が、いよいよ今回は遺産を巡って激突しそうになるまでの最 接近を果たす――もっと端的に言うなら由宇と麻耶の邂逅がおそらくは一番の収穫。  更にはADEMやミネルヴァの介入によって三つ巴四つ巴の【天国の門】争奪、単純に 敵味方が割り切れない複雑多岐な相関関係、などなど読み進めれば進める程に奥深さが増 してゆくこの手応えはどうか。戦闘描写は今回も存分に堪能させてもらえましたが、それ 以上に全て峰島勇次郎の遺産を起点とした多面的な人間関係の描写が凄く良い感じ。  ただ僅かに引っ掛かりを覚えたのは、主人公である筈の闘真の存在感がちと薄い気がし た事。単なる気のせいだろか? 主要キャラを万遍なく拾いながら見せ場を作ってる分だ け、闘真の割合が少なくなってるとか。それにしては戦闘での盛り上がりも、由宇と麻耶 のそれぞれと触れ合う美味しい要素もしっかりちゃっかり盛り込まれてるんだけど。  確かに闘真ばかりに焦点が当たっているわけでなくて、とりわけ今回はあちこちに分散 されているので闘真成分が前巻までより弱かったのかも知れない。性格的な面で普段はあ んまり目立たないってのもあるのかな? 闘真は“鳴神尊の継承者”としての自分自身に 翻弄されている所があるので、衝撃のラストからどう流れてゆくのかが次の見所か。  既刊感想:II 2004/05/27(木)鬼神新選II 東京篇
(刊行年月 2004.05)★★★☆ [著者:出海まこと/イラスト:ヤスダスズヒト/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  短いよ! 久々刊行の2巻目はこれに尽きる。300頁前後の作品が多い他の電撃文庫 群と比べても、150頁ちょいでは空きっ腹の半分も満たされません。悔しいのは中身が ちゃんと面白いだけに、短いせいで欲求不満がそれだけ多量に募ってしまう事か。  せめて付録の紀行文が不足してる新選組に関する知識の糧にでもなれば納得も出来たん だろうけど、笑いを取ろうとしてるのか余計なネタの盛り込みがことごとく滑っていて寒 くて仕方ない。こういうの書いている本人だけはノリノリで楽しそうに見えても、読んで いる方はあまりに楽しくなくて参った。縁の地を知れただけでも収穫だったのかなぁ……。  ストーリー展開は繋ぎにもなってない程進みが亀の遅さな為、今の所はまだ舞台を東京 に移したばかりで新八が新選組の亡霊の手掛かりを追い続ける辺りがメイン。後半ようや く新八が斎藤一と激突し土方の計略に挑み、それから裏では近藤・沖田・原田が慶喜に接 近したり、と盛り上がって来たのにこの短さのせいで物足らず。読みたいのはその先なん だよもっと読ませてくれよ! となってしまったわけですが、そんな風に力を込めて続き を求めたい気持ちってのは、この物語を面白く感じている部分から出ているのですよね。  それぞれの動向はこれまで以上に目が離せなくなりつつありますが、特に孤立無援で孤 軍奮闘で圧倒的劣勢状態の新八に巻き返しの手段が掴めるのかどうか。この状況で敵味方 の区別が曖昧な斎藤が敵に回ってしまったら、本当に新八には勝ち目が無くなってしまう ような気がするんだけど。あーもー早く続きが読みたいので今度は多量でお願いします。  既刊感想: 2004/05/26(水)TETORA
(刊行年月 2004.05)★★★ [著者:深沢美潮/イラスト:山本ケイジ/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  『ネットゲーム』『ロボット』『クローン人間』を題材とした、短編エピソード3本収 録の近未来SFストーリー。ええとごめんなさい、読んでいてどれもサッパリ乗れません でした。ネタとしては結構あちこちで使われているものと考慮しながら読んでみても、キ ャラクター、舞台背景、ストーリー展開の全ての書き込みがちょっと不足気味な印象。  何て言うか、3編ともに短編であっさり済ませてしまうのが勿体無い内容に感じられた んですよね。だからむしろどれか一つに絞ってでも、中編から出来れば長編くらいの分量 で描いてくれた方が楽しめた気もする。どのエピソードも他者とのコミュニケーションが 結構重要な位置を占めていながら(ファーストファーザーはコミュニケーション重視とは やや方向性が違うかもだけど)、短編の分量ではその辺りに手応えを得られなくて。  『TETORA』では準が現実での正体がバレないかと徐々に追い詰めらて行く過程を、 『わたしとロボットの関係』ではタイトル通りその関係を、『ファントムファーザー』で はオリジナルとクローンの絡みとか舜一と母親の触れ合いなどを、もっと深く掘り下げの 効いた描写で牽引力に繋げてくれていたら……。最も色々と足りなく感じたのは『ファン トムファーザー』で、裏を返せばこれが最も長編程度で読んでみたかったエピソード。  逆に一番合っていたのは『わたしとロボットの関係』かな? これもキャラクターの描 写不足は否めないんだけれど、一週間という期限に日記風な観察記録込みで短編の分量で も割とうまい具合に収まっている。最後はお約束のように削除前の元のブライアンの記憶 に戻ると思っていたから、予想外の結末に良い意味で裏切られたな〜という気分でした。 2004/05/25(火)護くんに女神の祝福を!3
(刊行年月 2004.05)★★★★ [著者:岩田洋季/イラスト:佐藤利幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  む、新キャラ・エメレンツィアの仕種がなんか可愛いぞ。真面目な顔してズレたボケを かましたり、愛しのお義兄さまを頭に浮かべては頬を染めたりしてる辺りとか。一見して 喜怒哀楽が乏しいように感じられるけれど、それは礼儀正しく冷静沈着な性格から醸し出 されているもの。結構ボケた要素が効いてるのかどうか、エメレンツィアに触れてみても あまり冷たい雰囲気というのはなく、後半でハッキリ分かる事だけれど他人を気遣う優し い心を持っている部分が好感触。どうもかなり好きになってしまったかも知れない。  この娘はもしかして絢子の対抗馬で護争奪戦へと発展するのか? と考えてみたけど違 ってた。この巻におけるエメレンツィアの役割は、絢子と《プロセインの魔王》とを繋ぐ 中継ぎみたいなもんでしょうかね。だから本編も次へ進む為の繋ぎのような印象。  もっとも、現状では護と絢子の強固な関係に介入する余地なんぞ欠片もありゃしないの で、護とエメレンツィアがどうにかなりそうな可能性ってのは、限りなく低いだろうなー と最初から諦めてましたけど。奪い合う対象は護ではなくて絢子の方だったわけか。  絢子の過去とか《プロセインの魔王》とか、実は1巻で既にちょっとだけ触れられてい ながら2巻では完全にスルーだったから気になってたのだけれど、ようやく浮上しそうな 気配を掴めたのでホッと一安心。次巻で登場しそうな《プロセインの魔王》は、護と絢子 の絆の深さを試す為にも、是非絢子の心を揺さぶるような存在であって欲しい……と希望 してるのですが果たしてどうなるか。護の潜在能力の強大さが提示されて、もう絢子の足 枷にはなりたくないと向上意欲を見せ始めた彼がどう成長してゆくのかも楽しみな所。  2人のいちゃつきっぷりと周囲の冷やかしっぷりは相変わらず賑やかで楽しい。ただ、 ちょっとパターンと化しつつあるのが心配だったりするので、絢子も頬染めるばっかじゃ なくてたまには茶化しに対して「ええそうよ護は私の恋人よ。当然でしょう。何か文句あ る?」と冷やかに凄んで切り替えしてくれると気持ちいいのに……まあ無理だろうけど。  印象に残ったのはやっぱりプレゼントの件。途中からもう護の心中が切なくて切なくて、 だから笑顔が見られた時は嬉しかった。「僕は絢子さんと対等に立てるまでに成長しなけ ればならない」、と彼に意識させる切っ掛けとなっているのもいい演出。あと絢子とエメ レンツィアの「私の想い人はこんなに凄いのよ!」舌戦も面白かったですね。    既刊感想: 2004/05/24(月)護くんに女神の祝福を!2
(刊行年月 2003.12)★★★★ [著者:岩田洋季/イラスト:佐藤利幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  このやろー終始ラブラブラブラブしやがってこんちくしょう! 恥かしくなるを通り越 して、あまりに幸福満開な雰囲気を眺めてやさぐれてしまいましたよ。なんかもう永遠に いちゃいちゃしてて下さい……とか何とか思わずぶちまけてしまいたいくらい、帯にある ような徹底的で圧倒的な『激ピュア・ラブコメ』っぷりにお腹一杯。ごちそうさま。  ええと、ここまで激ピュアラブコメ寄りに倒れ込んだ事。多少予想してたものの実際に は遥か上を行っていたので、最初立て続けな絢子の狼狽振りとか見ながら案外面食らった りしてました。と言うのも1巻読了時点では、もし続きがあるなら護と絢子の初々しい恋 愛過程を描くのか? それとも本来皆が学園に通う目的であるビアトリス制御について描 くのか? まだどっちを重点的に攻めてゆくのか半々手応えだったから。結果はこんな風 で、潔くベタベタ展開まっしぐらを選択したのは大いに成功だったんじゃないかなと。    今回は学園モノの定番で学園祭。1つの問題を最後まで引っ張るのかと思いきや、絢子 と護に試練を与える二段仕掛けの内容。目に見えてどぎまぎでギクシャクでどきどきの恋 愛に初心な絢子と、彼女に対し相思相愛の恋人よりも“高嶺の花”という意識が抜け切れ ない護が、徐々に自然体で心を通わせてゆくまでの過程の描写はなかなかに見事。  しかしどうもビアトリスという設定自体が曖昧に映るせいか、やはりこれが関わって来 ると微妙に感じられてしまう時もある。機会があればこの辺もうちょい突っ込んで欲しい とこなんですけど、まあ飽きてしまうまでは護と絢子のベタベタがあればそれで充分か。  護の事で冷やかされてはむきになって顔を真っ赤に染めまくってる絢子を見ていると、 度々ちょっかい出したがる会長や汐音の気持ちがよく分かる。こと恋愛に関してだけはホ ントにからかい甲斐のある反応ばかり見せるんだもん絢子ってば。ただ、ふざけ気味で冷 やかしてはいるけれど、近しい人達皆が心の底から護と絢子の恋を応援し祝福してくれい ているのが凄く伝わってくる。暖かい雰囲気で広がり続けるその感情はとても心地良い。  既刊感想: 2004/05/23(日)ルナティック・ムーンIII
(刊行年月 2004.05)★★★☆ [著者:藤原祐/イラスト:椋本夏夜/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  今まで控え目だったシオン分増量の巻。いや、しかしこれはなかなか……ただ事じゃな い過去を背負っているらしいのは語られなくても分かり切っていたつもりでしたが、想像 以上に容赦なくえげつない痛めつけっぷり。エグいグロい描写がダメな人にはあんまりお 薦め出来ない描写がかなり壮絶で、思わず目を背けたくなる部分もちらほらとあったり。  誰が触れてもあんまり好きになれそうにない見せ方な気もするけれど、感触が少々弱か ったシオンというキャラクターはこれで確実に深みが増した。よく精神崩壊起こさなかっ たなと半ば呆然と彼女の過去を眺めてましたが、ルナと出逢うまでは限りなくそんな状態 に近い場所に身を置いていたのも良く分かった。ただ、ルナとの絡み具合はこの巻でもま だ足りてないような手応えだったので、戦闘以外でのエデンの日常とかも見てみたい所。  稀存種関連の過去については未だハッキリしない点も多いながら、第六稀存種の登場で 少しだけカロマインやエデン自体との繋がりが分かってきた。あとは十年前にあった事件 とルナの母親との関係、これらが描かれた時に全てが解かれるのかな?   今回の第五稀存種は誰が該当者なのかというのが最初から(表紙の時点で)バレバレだ ったので、もうちょっと途中まで曖昧に伏せつつ物語を引っ張ってくれた方が楽しめたか も知れない。せめて“3人の変異種の内一体誰が第五稀存種なのか?”という風にでも。  しかし今回に限らずで場面転換の目立つ構成にちと難色。例えば前巻の場合だと、殆ど ルナとシオンに絞って交互に描きながら二点同時襲撃を演出していたので効果的に映って いた。けれども今回は頻繁な場面転換を無理に駆使する必要性を見出せなくて、多用し過 ぎのせいで全然腰を落ち着けて読む事が出来なかった。何かあっちもこっちもフォローし ようと必死にドタバタ駆け回っているようで「もっと落ち着こうよ!」と言いたくなって しまった。細かく章立てしているのだから、この章はルナ或いはシオン、この章はフィオ ナ或いはカロマイン、と区切った方が余程読み易くなると思うんだけど。  既刊感想:II


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