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10/19 『ハード・デイズ・ナイツ レクイエムは君の――』 著者:南房秀久/富士見ミステリー文庫
10/19 『GOSICKIII ―ゴシック・青い薔薇の下で―』 著者:桜庭一樹/富士見ミステリー文庫
10/17 『平井骸惚此中ニ有リ 其参』 著者:田代裕彦/富士見ミステリー文庫
10/16 『食卓にビールを2』 著者:小林めぐみ/富士見ミステリー文庫
10/16 『タクティカル・ジャッジメント5 湯けむりのデスティニー! 邂逅編』 著者:師走トオル/富士見ミステリー文庫
10/14 『さよならトロイメライ3 幻想リプレイ』 著者:壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫
10/12 『ROOM NO.1301 #3 同居人はロマンティック?』 著者:新井輝/富士見ミステリー文庫
10/11 『業多姫 六之帖――夢見月』 著者:時海結以/富士見ミステリー文庫
2004/10/19(火)ハード・デイズ・ナイツ レクイエムは君の――
(刊行年月 H12.11)★★★☆
[著者:南房秀久/イラスト:壱河きづく/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
富士見ミステリー文庫創刊時に刊行された内の一冊。人気美少年アイドルグループ『ソ
ーズ&ソーサリー』のメンバーの一人で主人公の大地一心と、頭脳明晰な彼の兄・巽玲が
中心となり、様々な事件の依頼を解決してゆくという流れ。一心が足で情報を稼ぐ肉体労
働役、玲が頭で推理を展開させる探偵役といった所。他に少女側では“歩く平均値”と言
われる程全ての事柄において平均値をはじき出す女郎花茜や、玲を慕い捜査に協力し一心
とは常に犬猿の仲状態である二人の義妹・ニコルなど。ただ、どちらかと言えば主に美少
年達が前に立って活躍するような物語で、やや作風が女性向けな印象だったかも。
まあ女性向けとは言ってもその多くは“美少年アイドル”って部分に掛かってるだけで、
今の所間違ってもグループ内でボーイズラブ展開が勃発するような雰囲気ではないし(ソ
ーズ&ソーサリーの四人の少年達は友情関係の雰囲気の方が断然強いのでね)。あと最初
はどう転んでも恋愛関係に発展しそうに無かった一心と茜の関係も、良くも悪くもお互い
微妙に気になる存在にステップアップしているので、案外二人の感情を追うだけでも楽し
めそうな気もする。これに玲と一心の家族関係と過去の起こった出来事、それにニコルと
の関係が深く描かれてゆけば更に乗れそうだけど、現状ではまだ分からない事が多いか。
以前読んだ時に引いてしまっていたのは彼らの曲の歌詞のイタイ文面とか、美少年アイ
ドルとかの要素だったのかな? とふと思う。でも改めて読んでみたら、別にその辺は鼻
にも付かずどーって事なく普通に入り込めてた。で、肝心のミステリーの部分はもうちょ
っと捻って下さい〜。とりあえずあんまりなくらい簡単に真犯人が分かり過ぎるので。
2004/10/19(火)GOSICKIII ―ゴシック・青い薔薇の下で―
(刊行年月 H16.10)★★★★
[著者:桜庭一樹/イラスト:武田日向/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
ミステリーの濃度はこれくらい軽度に盛り込まれていた方が、もしかしたら丁度いいの
かも知れない。と思うのは、段々そっちを重点的に見せるような描き方じゃなくなって来
てるのもあるのだけど、密度を濃くしなければそれだけヴィクトリカの可愛さに全神経を
集中させる事が出来そうなので。前巻までだと、それなりにミステリーっぽく仕上げよう
とする気概も見られたんだけど(オカルト色も結構あったかな?)、今回は明らかに謎解
き重視ではなくてとにかくヴィクトリカを可愛く描こうとする点を重視している。
実はヴィクトリカの描写の一部では全く可愛くなかったりするんですよね。主にしわが
れた声だとか、周囲にとことん無関心な態度とか、偉そうでつっけんどんな物言いとかそ
の他色々。ただ、その辺を踏まえつつ向き合った場合でも小憎らしいより可愛いが先に立
ってしまうのは、やっぱり一弥に悟られぬようにして本音を洩らしてしまうシーンが随所
に盛り込まれているから。あとは外見の容姿に文句のつけようが無いのもあったりするけ
ど、可愛くない部分と可愛い部分のギャップの激しさみたいなのが、総じてヴィクトリカ
という娘の魅力に繋がっているのかなと。今回は特にその魅力的な部分の描き方が素晴ら
し過ぎる程に力が入っていて、悶え転げ回らずにはいられないってのがまた堪らない。
これまでよりミステリー方面でのパンチ力は弱まっている気がするのに、ヴィクトリカ
だけで作品の良さが充分に保たれている事実はどうだろうかと首を捻りつつ、それはある
意味凄い事だなと思わされてしまうのも確かで。事件的な謎よりも、幾つか伏せられてい
そうなヴィクトリカ自身とその周辺の謎を盛り込んでくれたらそれでいいと思う。
ヒネクレ態度で素直じゃないヴィクトリカ、微妙な変化を感じ取れない鈍感な一弥、そ
の間に割って入りかけている直情的なアブリル。あとがきによると次巻でヴィクトリカと
アブリルの初対面が描かれるみたいなので、表面化しそうな三角関係に期待したい所。
既刊感想:I、II
2004/10/17(日)平井骸惚此中ニ有リ 其参
(刊行年月 H16.10)★★★★
[著者:田代裕彦/イラスト:睦月ムンク/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
帯の撥子(毎度の如く『撥』は本来さんずいなんだけど、出せないのでこれで代用して
ます)の台詞だけで既に相当キターな感触で、実際中身も凄まじく素晴らしいまでのL・
O・V・E特盛り状態でした。その上で、このレーベルにとって真っ当なミステリーとし
ても楽しめる作品って貴重ですよホントに。LOVE&ミステリーの新路線とはよく踏み
切ったもんだと、ある意味感心させられる程の潔さというか開き直りというか。それでも
物語として面白く楽しく読めるレベルで融合を果たしている作品って案外少ないです。
そう言った観点で、このシリーズの出来は群を抜いて素晴らしいなと唸らされる。確か
にミステリー一色にどっぷり浸りたい願望が満たされているかと言えば、ミステリー要素
の盛り込み加減は軽めなので食い足りないかも知れない。それでも殺人事件と推理と謎解
きとをすべてひっくるめて、充分に読み解き楽しめる仕上がりにはなっていると思う。
今回で言うなら『誘拐』と『殺人』の二つの事件の関連性、それを太一君が推理して謎
解きを披露し、最後に骸惚先生の真相語りでもう一つ山場を用意しつつ終盤を見事に盛り
上げてくれている。まあどちらの真犯人も、あまり深刻に考え込む前に途中で容易く予想
を付けられるくらいの程度でしかないのですが、それでも後半――大体殺人事件発生辺り
からラストシーンまで一気に読ませる牽引力ってのはやっぱり良い感触ですよね。
あとは涼嬢の激しいやきもちと、撥子の健気で大胆な行動力と、澄夫人の包み込むよう
な愛情を素直に感じてにまにましとけ。三人とも平井家が普段から女性上位なのをまざま
ざと見せ付けているような、実に魅力的な女性して描かれている。多くは澄夫人の影響力
な気もするけれど、骸惚先生がタジタジで頭が上がらないのもよく分かるなと。
そして撥子が勇気を振り絞って名乗りを上げた事によって、涼嬢との太一君争奪戦も俄
然面白くなって来た。素直な撥子の方が有利そうだけど、素直になれない涼嬢も彼女らし
くて可愛い所。この辺は直ぐにどうなる訳でもないのでじっくり楽しませて下さい。
既刊感想:其壹、其貳
2004/10/16(土)食卓にビールを2
(刊行年月 H16.10)★★★☆
[著者:小林めぐみ/イラスト:剣康之/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
もの書きビール好き人妻女子高生(未だに名無し)によるヘンテコSFミステリー……
ってジャンル分けで合ってるのかどうか分からないですけど。わたしゃ好きだが他人にゃ
薦めたくない系の物語ってこういうものを指すのかなぁとか思ったりもした。もしかした
ら薦めたくないよりかは薦め難いって方が正確かも知れない。相変わらず極めて変な話。
タイトルからして『ビール』で帯からして『BEER LOVE2』なので、ビールが
重要っぽい位置付けのような印象ながら、重点的に活用している程でもなくて。それこそ
ビールかッ食らって異星人と戯れる演出な方が説得力ありそうだけれど、そういう時って
殆ど素面の女子高生だし(そもそも酒強そうなので酔っ払ってるイメージが沸かない)。
あ〜でも今回はビールが絡んだエピソードなどもあったか。基本的には異星人とドタバ
タやって、騒いだ後にぐいっと一杯やるという表現が乙な物語なんだろうなぁ。美味しく
味付けするアイテムとしてのビールの使い方ってのが、実に絶妙だと思わされてしまう。
科学的な面で楽しませようとしている部分については、大概知識が無い故に理解不能な
もんで、説明されても「ふーん」と流すしかないんですけど。他に楽しみを見つけようと
するならば、やっぱり異星人とのヘンテコなエピソードか、或いは旦那様とのコミュニケ
ーションでにまにまするとか。今回通販騒動に端を発した口喧嘩で「プチ家出」なんてや
ってますが、それでも会話シーンにすっとぼけた面白味としっかりきっちり通じ合ってる
夫婦愛のある暖か味が感じられるのは変わらず。今後もあるならば、そういうのきちっと
押さえてくれたら変でも一向に構わない。でも奥様の本名は明かされないんだろうなぁ。
既刊感想:1
2004/10/16(土)タクティカル・ジャッジメント5 湯けむりのデスティニー! 邂逅編
(刊行年月 H16.09)★★★★
[著者:師走トオル/イラスト:緋呂河とも/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
悪辣弁護士・山鹿善行にしては随分控え目な今回の法廷。かと思ってたら次巻へ続くの
幕引きだった。ああ成る程これは前哨戦に過ぎないのかと。そうは言っても一応の区切り
はつけているし、その上で更に難解にこじれそうな事件へと発展させるような気概が感じ
られたので、完全決着へ本領(本性)を存分に発揮させるであろう次巻の善行に期待。
善行がこの巻で請け負った審理はとりあえずの形でケリが付いているから、あんまり続
きが気になって悶々とさせられるような引きではなくて。だから多少間が開いても焦れず
に待てそうな今回の締め方は良い感触。続きの予想を立てる楽しみも充分味わえそう。
事件捜査や法廷劇などは正直これまでより歯応えが弱くて、でもこれは前哨戦のような
描き方なので仕方ない。それに今回は普段楽しんでいる善行の法廷バトルよりも、ずっと
楽しく読めた要素もしっかり盛り込まれていたので物足らずという事もなかったし。
面白要素は二つあって、一つ目は雪奈と触れ合いたい直前にことごとくお預け食らって
しまっている善行の事。据え膳食わぬ善行なんて学生時代の姿からは想像がつかない、と
は氏神功徳の言葉だったか。それだけ雪奈を特別な存在として扱ってる表れに見えても、
普段の傲岸不遜な態度と雪奈への態度とを照らし合わせると「ただのヘタレだな」としか
思えない。まあこれだけ狙ったように寸止めされてしまうのもさすがに不憫なので、今後
もうちょっと進展してくれてもいいような気がしないでもない。一人称の為かあまり描か
れない雪奈の気持ちの方が曖昧なんだけど、反応を見る限りは好意的なようなので。
もう一つは前述の新キャラ・氏神功徳の存在。さすがは善行と影野の学生時代の悪友、
一筋縄じゃいかない匂いがプンプン漂いまくりです。愛妻と愛娘が歯止めになってるから
まだいいようなものの、利かなくなったら一体どうなるんだか……。4巻の東ヶ崎検事よ
りか、余程善行の敵役になったら面白くなりそうな印象だった。彼も事件に首突っ込んで
るので再登場しそうですが、どんな風に物語を引っ掻き回してくれるかも楽しみな所。
既刊感想:1、2、3、4、SS
2004/10/14(木)さよならトロイメライ3 幻想リプレイ
(刊行年月 H16.09)★★★☆
[著者:壱乗寺かるた/イラスト:日吉丸晃/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
このシリーズのウリと言えるであろう冬麻のクセのある一人称語り口調。読んでいて楽
しい事は楽しいのだけれど、その押しだけではそろそろ盛り上がりに歯止めが掛かって来
ているような気がするのも確かで。もう冬麻のふざけた語りにもすっかり慣れてしまった
というのが正しい所か。要はそれ以外の部分――とりわけミステリー方面での謎とか仕掛
けとか、個人的に本来楽しみたいと思っている部分でもっと頑張って欲しいのですよね。
こういうの、少なくとも1巻時点では確実に事件のトリックや謎解きで楽しめてたので
すが……。やっぱり恋愛方面を強化するようになってから、中途半端に盛り込まれてしま
ってるのが拙いのかなぁ。今回で言うなら、《トップ3》の中で『真霜』の性に関わるそ
れぞれの繋がりを主軸として描いている内容で、それとはやや関連薄な演劇部の事件をあ
っさり加減で描いているような感じで(かつての《トップ3》のパートナーという関連性
があるにはあるんだけど)。もしこの演劇の事件が冬麻や《トップ3》関連と密接に結び
ついてるならまた別なんだけど、演劇部内の事情や相関関係の掘り下げもあまり効いてい
ない状況では、どうにも雑で中途半端な感触が抜け切れませんでした。
どうせなら『真霜』の性と冬麻の事情の繋がりの方をを割増にしてくれるか、そうでな
ければ《トップ3》の方はひとまず横に置いておいて、今回は演劇部絡みの事件性をメイ
ンに据えて物語を盛り上げて欲しかった(どっち付かずな描き方で余計に半端さが見えて
しまったのかも)。あとがきを読んだ感じでは、ちゃんと殺人事件ありのストーリーを描
きたがってるみたいなんだけど、この作品の雰囲気にはそぐわないとか何とか色々諸事情
があるのかな。実際この物語で本当の意味での殺人事件てのはこれまで一度も無いし。
まあ殺人事件云々はともかく、今後は冬麻と泉と都と八千代との多角恋愛関係で盛り上
がって行ってくれりゃそれで良いような気もする。今回は八千代が実に美味しい働きを見
せてくれたので、あれこれあった不満も気が付けば相殺されてましたと。キャラクターと
して好きなのは泉だけど、都とくっ付いた方が自然な流れだとは思う。でも泉と都と八千
代じゃ敵対関係にはならんだろうし、冬麻がハッキリしない限りは決着付かなさそう。
既刊感想:1、2
2004/10/12(火)ROOM NO.1301 #3 同居人はロマンティック?
(刊行年月 H16.09)★★★★
[著者:新井輝/イラスト:さっち/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
エッチしないと寝る事の出来ない特異体質な冴子編の続き……って位置付けだったよう
な気がするんですけど。健一とホタルのラストシーンがあまりにインパクト強過ぎて、そ
れまでの出来事が全てこれに吹っ飛ばされてしまったような印象でした。まあ内容的には
“恋愛に向いてない”と言い張る健一の多重女性関係で存分に楽しめたのですけど。
ただ、結局前巻で冴子に関する気になってた部分については明かす気が無いのか、それ
とも更に先延ばしにしたのかどうか。例えば特に知りたかった、彼女がエッチしないと寝
れなくなったそもそもの理由とか。今回はちょとだけ登場した冴子の姉らしき女性や、健
一達が住んでる“存在しない”13階のマンションの管理者との関係とか、冴子に関して
明るみに出て来た部分もあったので一歩前進かな。冴子編とは言っても、元々これで関係
を終わらせる気はさらさらないようで、今後も引き続きエッチするだけの関係を引き摺っ
て行く模様。なので冴子に関してもこれから色々分かってくるだろうと期待してます。
中盤はホタルとツバメ同伴で本来の恋人関係にある千夜子と旅行。千夜子の行為を見て
ると、もどかしいってよりかは正直「面倒臭い娘だな〜」なんて思わされてしまう。健一
みたいな性格じゃないと、こっちが耐え切れずに付き合いを投げ出してしまいそうで。
でも、ぎこちないながらも名前で呼び合うようになったからこちらも一歩前進か。今回
はプロローグで未来語りの鈴璃が登場しなかったけど、健一と千夜子が数年後も付き合い
続けているのは決定事項なので、そこに至るまでどんな進展具合を見せてくれるかという
所に興味が掛かって来る。他の娘と同様に千夜子ともヤってしてしまうのか、それとも鈴
璃が語る時点でもプラトニックな関係をだらだらと続けているのか? なんて部分も。
そして前述の通りラストでホタルが大変な事に! 健一を好きなのは態度でバレバレな
のだけど、勢いでぶちまけた事実があれこれ衝撃的で。これで義姉とか言ったら背徳感や
深刻度合もまた違うんだろうけど。そんな取って付けた様な素振りは全くなさそうだし、
それだからこそ余計に気になる実姉のホタルとの関係。一体どうなっちゃうんだろ?
既刊感想:#1、#2
2004/10/11(月)業多姫 六之帖――夢見月
(刊行年月 H16.09)★★★☆
[著者:時海結以/イラスト:増田恵/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
シリーズ最終巻。この鳴と颯音の結末に関してだけ言うなら文句無しの満足感。収まる
べき場所にきちっと収まってくれたし、あえて深くは描かずにさり気なく余韻を残すよう
なラストシーンの二人の未来風景も実に良いものでした。最後にこうなったと言う事は颯
音が過去の呪縛から解き放たれた証という事であり、つまり鳴と本当の意味で身も心も結
ばれた事の証明でもあり。これまでずっと鳴が求めても、颯音の方でどうしても一線を越
えられない苦悩を抱える姿が描かれていたので、無事にホッとする気持ちが残りました。
と言うわけで、結末以外の所に満足出来ない要素が幾つかあったのでした。まず青津野
刑部の存在感が、どうも思ってたより膨れ上がってくれなかった点。いつも鳴と颯音の関
係は充分以上の描かれ方をしていたんだけど、逆に敵方に対する描写の弱さがちょっと目
立つ形に出てしまったかな。颯音との最後の戦いでも「こんな切羽詰った大事な局面で名
無しの雑魚を出すの?」なんて納得出来ない展開もあったり。その分だけ青津野が颯音へ
向ける偏執的な性癖を、もっと掘り下げてくれた方が良かったかも知れない。
とは言いつつも、これまでずっと伏せられていた颯音の失われた記憶の謎については、
怒涛の如く一気に紐解かれて行ったので充分に楽しませてもらいました。引っ掛かってい
た事柄にも「成る程ね〜」と思う事頻りで、胸のつかえが取れてスッキリしました。
あとは少量でもいいから、どうしても最後に戸谷ノ庄で約束を交わした銀と早霧との再
会シーンが見たかったです。やはり二人共に好きなキャラなので、そういうのが無かった
のは至極残念(僅かに★の数下げた殆どの原因はこれ)。全7巻完結となっていますが、
機会があればもう一度短編集みたいな形で銀と早霧側の補完をして欲しいなと。
既刊感想:壱之帖、弐之帖、参之帖、四之帖、伍之帖
いりどりつづり
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