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09/20 『玉響 ―たまゆら― 三』 著者:時海結以/富士見ミステリー文庫
09/19 『食卓にビールを4』 著者:小林めぐみ/富士見ミステリー文庫
09/18 『しにがみのバラッド。7』 著者:ハセガワケイスケ/電撃文庫
09/17 『しにがみのバラッド。6』 著者:ハセガワケイスケ/電撃文庫
09/16 『麒麟は一途に恋をする4』 著者:志村一矢/電撃文庫
09/15 『麒麟は一途に恋をする3』 著者:志村一矢/電撃文庫
09/14 『奇蹟の表現II 雨の役割』 著者:結城充考/電撃文庫
09/13 『奇蹟の表現』 著者:結城充考/電撃文庫
09/12 『ヴぁんぷ!III』 著者:成田良悟/電撃文庫
09/11 『ヴぁんぷ!II』 著者:成田良悟/電撃文庫
2005/09/20(火)玉響 ―たまゆら― 三
(刊行年月 H17.09)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:時海結以/イラスト:増田恵/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
とりあえずヒナクモがそっちの趣味だと言うのは良く分かった。追われる身の道中で
何やってたんだあんたは……事実を聞かされたハニカでなくても呆れて突っ込みたくな
るわ。と、ヒナクモを非難している原因は彼の奥さんの事。神秘的な雰囲気を纏ってい
たので見掛け通りの年相応ではないのかと思ってたけれど、どうやら年相応らしい。普
段のヒナクモからこういう対象に手を出すとは考えられないんだけど、何か劇的な出逢
いでもあったのか? 今後機会があればちくちくと突付く様に語って欲しいなぁ。
ある意味衝撃が走ったヒナクモに関する事が印象深くてついつい先走ってしまいまし
たが、本編はそんなにのんびり語っていられるような状況ではなくて。行方不明のハニ
カは自らの出生の秘密が知れたと同時にミコモへは戻れなくなり、ハニカを追うイメタ
テは誓約の女神によって自由を束縛されたマユラに復讐の刃を向けられ、主役不在のミ
コモは今にもヤマトの軍勢に攻め入られようとしている。何処を取っても先は闇。
良い方に転じる要素があるとすればミコモに残るヒナクモの奮起、ヌナの地から出れ
ないハニカと彼女の周囲の動向、そしてようやく幻じゃない相手と温もりを感じ合うこ
とが出来たマユラとイメタテの選択など。まあマユラとイメタテはもっと徹底的に“添
い遂げたいけれど今は叶わぬ願い”を持続して焦らして欲しかった……とも思いました
が、イメタテが過去を吹っ切れないせいか未だ切なさが残っているのでまだまだ目が離
せません(あっさり添い遂げたら面白くないし、とか言ったら二人に悪いか)。
今までミコモとその周辺の狭い範囲で描かれてきた物語の視野が今回一気に広がり、
ヤマトが各地を攻め続ける意図も明らかになり、バラバラだった事実が音を立てて噛み
合わさる手応えは良好。マユラに圧し掛かる誓約の状況も合わせて気になる所。
既刊感想:一、二
2005/09/19(月)食卓にビールを4
(刊行年月 H17.09)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:小林めぐみ/イラスト:剣康之/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
表紙見てあまり機会の無い旦那との遠出を期待してたのだけど、プールとか海水浴に
行く話ではなかったのね。食卓に『ビールを』でも『ビールはありません』でも、ビー
ルを飲む様子が滅多に無いのはいつもの事。きっと異星人絡みの騒動が済んでからくつ
ろぎながら「ぷはぁっ!」と煽るのだろう。作中で実際に見れないのは残念だけど。
彼女が物理オタクモードで語り始めると、詳しくなくて疎くて多分苦手な私なんかは
どうしても「へぇ〜」とか「ふ〜ん」とか、バカの一つ覚えみたく頷く事しか出来ない
でいる。ただ、そういやこれって毎巻の感想で書いている事だと思い返して、「ああ何
だ、結局曖昧な理解でも充分楽しめてるじゃないか」とい毎度改めて気付かされる。
今回も旦那との惚けた会話は相変わらず。ベタベタするのが極めて似合わない夫婦と
いうイメージなもんで、こうマイペースでのほほ〜んとしてる方が眺めている側として
も凄く和む。しかも夫婦間でちゃんと理解し合えている所がまた良いんだよね。いつか
馴れ初めから結婚までの事を聞かせて……貰えそうな雰囲気の話ではないよなぁ。
あとは女子高生分がいつもより増していたような。本人もそうだけど周囲にも変な人
(良い方向で言うと個性的な人)が一杯登場してたので、女子高生イベントが印象に残
り易かったのだろうか? “類は友を呼ぶ”がそのまんま描かれている所が可笑しい。
既刊感想:1、2、3
2005/09/18(日)しにがみのバラッド。7
(刊行年月 2005.08)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:ハセガワケイスケ/イラスト:七草/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
これだ! これが哀しくてやさしい物語だ! 何か前巻感想で愚痴ってた部分ほぼ全
てに対応が為されていてびっくりしました。“モモが干渉しない”の辺りとか“救いが
無い上に報われてない”の辺りとか。逆に前巻だけが特殊仕様だったようにも思える。
今回はモモやアンのしにがみサイドのエピソードを除いて、珍しく(シリーズ初だろ
うか?)一冊に一本の長編ストーリー。正確には中編作二本の前後編で綴られてます。
異母兄弟の兄と双子の妹という関係であれば、どちらも兄貴を好きになるのはお約束。
片方が好意を表に出し、片方が胸の奥に秘めるのもお約束であれば、双子の姉妹が互い
に相手の気持ちに気付いているのもお約束。分かってないのはニブイ兄貴、だけどこの
幸せを誰よりも強く大切にしているのも兄貴。じゃあもしこの三人の平穏な空間が、自
力ではどうにもならない形で突如崩壊してしまったら……? という流れの物語。
これまでのエピソードと違うのは、登場キャラクター数が短編作とあまり変わらずの
少数だから、長編の分だけ感情移入度がずば抜けて高いのですよ。勿論短編だって心に
残っているものはありますが、今回のはストーリー展開も単純明快なお陰でキャラクタ
ー共々一層忘れられない仕上がりになっている。惺と綾と紗耶に訪れる『死』の存在と
絶望と白いしにがみ(とこうもり猫)、そして全ての意味を抱えて生きる希望へと繋げ
てゆく。このシリーズならではの表現方法が確立されているので、ともすれば曖昧な描
かれ方と映るかも知れませんが、私は結局それが好みなんだと実感させられました。
既刊感想:1、2、3、4、5、6
2005/09/17(土)しにがみのバラッド。6
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:ハセガワケイスケ/イラスト:七草/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
この物語にとって、モモってどんな役割なのかなぁ? と、改めて考えさせられるの
は、その機会が貰えたからなのかも知れない。実際どうなんだろう? 傍観者的立場は
最初から変わってないと思うのだけれど、前はもっと『死』へ導く側から対象者に干渉
していなかったか? 疑問符ばかりなのは、モモの存在と一つ一つのエピソードが淡白
で希薄で、手に掴んでいるのと頭に残っているのが曖昧だから……ごめんなさい。
何で初っ端の感想がこういう方向に行ったかと言うと、要はどうにかしてモモの干渉
を求めたいエピソードばかりだったから。白いしにがみと接する状況下にある――つま
り死に直面しているか或いは最接近している人(達)の物語なので、安らかな死の結末
はよくある事なのだけど、一冊にこうもバッドエンドが揃うのは珍しいのではないか。
今回の内容、“哀しく”はあるが“やさしく”はない。“切ない”を越えて“痛々し
さ”が後味に残る。雰囲気的なものでやさしさは感じられるけれど、やさしい物語とは
ちょっと言い難い。モモが傍観している対象者にちょっかい出して欲しかったのはこれ
が原因。各エピソードの好き嫌いは抜きにして、単純に救いが見たかったんだと思う。
たとえモモが干渉したって覆る可能性は極めて低い。けれども救われなくても、報わ
れて納得して逝ってくれるのをいつも願っていたから、今回は苦味が広がる結果だった
のかなと。但し、好きか嫌いかを加えたら個人的には好きな部類に入るんですけどね。
既刊感想:1、2、3、4、5
2005/09/16(金)麒麟は一途に恋をする4
(刊行年月 2005.08)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:志村一矢/イラスト:椎名優/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
は、話がサッパリ進まねえ。そう感じなくなるまで毎度書いちゃおうかなもう。本編
に絡ませつつちゃんと纏め上げている書き下ろし番外編のエピソードの方が、展開の遅
さで焦らされない分だけ本編より面白さが上を行く。毎巻とは限らないけれど大抵は。
番外編は本編以上に『月花』との関連性が深く、前シリーズを知っている身には惹か
れる要素ってものが結構あるのですよ。中には今更なのも混じってはいるのだけれど、
今回の鷹秋と燐のエピソードは印象深く残り、特に燐が歩んで来た紆余曲折の道を把握
しているだけに、余計に胸に迫るものがありました。夫の鷹秋と娘の歩と平穏無事に暮
らして行けたら良かったのに。この辺りで前作を引き摺り続けている事への個人的な反
発心が頭を出してしまう。掛け合わせるのは決して嫌ではないのだけれど、燐を思うと
過去に散々傷付いたというのにまだ傷付けさせるか……と言う気持ちになったりする。
今回は狙われている遙達の側が総力戦を仕掛ける側に立った事に意表を突かれた。こ
れまで後手後手に回ってばかりだったので、“先手を打つ”と言う何時もと違う刺激は
心地良いもの。そして本編ラストのもうひと刺激。退屈感は結構紛れた気がする。《混
沌》の欠片を追って行ったままの燐も含めて、続きを気にさせる展開は良かったです。
既刊感想:1、2、3
2005/09/15(木)麒麟は一途に恋をする3
(刊行年月 2005.02)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:志村一矢/イラスト:椎名優/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
麻由の命を狙う星獣達が一斉攻撃を仕掛ければ一気にあっさり決着が付くんじゃない
か? と、それを言っちゃお終いな事を軽い気持ちで述べてみる。いや、実際東雲のゲ
ーム感覚のお遊び感覚でわざわざ敵が一人ずつ出向いているから、辛うじて麻由も遙も
生かされているだけで、何で一気呵成に滅ぼそうとしないんだ? と首を傾げてしまう
訳ですよ。例えば敵側に麻由と遙を殺すのに躊躇いが生じてしまう理由とかあれば、現
状よりは色々納得出来ると思うのだけれど、皆殺る気満々でそんなの誰一人居ないし。
要は総合的な戦力差が圧倒的に開いていながら、何かしら抜け道を用意して危機を脱
しているのに都合良さと無理が見えてしまうと言う事。その戦力差が開けば開くだけ余
計に。ただ、月花とのクロスオーバーで中盤以降『院』の関係者が本格参戦し始めてか
らは、ようやく麻由の危機回避も無理なく違和感なく見れるようになって来たかな?
あとこれも毎度書いていますが、やはり隔月の誌上連載という形を取っている以上、
物語のペースアップを望もうとしても厳しいのかも知れない。で、ゆっくりな上に進行
具合がどうも“戦闘→負傷回復→日常→危機→また戦闘”とぐるぐる回るワンパターン
気味に感じてしまうせいか、益々微妙な手応えに……。逃げ続けていた麻由がようやく
立ち止まり、自分を護る為に傷付く事を厭わない遙に向き合えるようになったのがせめ
てもの救いだろうか。ベタなお約束事をベタベタに描くのがやっぱり好きなので、絆を
深める切っ掛けを掴めた麻由と遙の関係を押し進めて行ってくれたら今はそれでいい。
既刊感想:1、2
2005/09/14(水)奇蹟の表現II 雨の役割
(刊行年月 2005.08)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:結城充考/イラスト:KEI/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
前巻はナツが主人公だと表紙の扱いで勘違いし、この巻は裏表紙の状況を完全に見誤
ってしまった。つまりこういう事――新キャラの女の子を気遣っているシマを見掛けた
ナツが面白くなさそうに問い詰めて何故か焦ったシマがビクッと反応する……さて、何
処が間違っているでしょう? 答えはシマが焦った意外全部。何となく悔しかった。
新キャラのオズは女の子じゃないし、ナツは別に面白くなさそうにしている訳でもシ
マを意識している訳でもないし、むしろ彼女が意識を向けていたのはオズに対して。
あーあ、シマとナツって父娘みたいな関係を築き上げてゆくのだろうか? とわくわ
くしていたのに、いきなり娘にフラれた父親の哀愁を味わわされた気分。改めて思い返
すとシマの方が凄くナツを意識していて、表にはうまく出さないようにしていながら、
読んでいる側からは丸分かりなんですよね(そこが何とも微笑ましいのだけれど)。そ
れに関連して、ラストシーンの挿絵は色々な意味が込められていて凄く良いなと思う。
物語のテンポや雰囲気は前巻と殆ど一緒。相変わらずストーリーとがっちり噛み合う
淡白さ地味さで良い仕事されています。変化を挙げると新キャラのイルマによって微妙
に華が増えた事。ツキオカや根源的暗殺者関連が次へ持ち越されたので前巻よりも明ら
かに続編を意識した構成な事。そしてミクニ分増量でオヤジ度数が大幅アップしている
事など。最後のは個人的には大歓迎なのだけど……この路線で走ってていいのか?
既刊感想:I
2005/09/13(火)奇蹟の表現
(刊行年月 2005.02)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:結城充考/イラスト:KEI/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
第11回電撃小説大賞『銀賞』受賞作。
まあ何て言うか……中年オヤジの格好良さに惚れました。年を重ね様々な経験を重ね
た男から滲み出る渋味、裏街道の修羅場を数え切れない程潜り抜けて来て積み上げた凄
味、そして殺された愛娘と重ねるようにナツを見守る視線の温か味。オヤジの魅力全開
ですなあ。と、こうして書き出していると何だか熟年の域に達している印象を持ってし
まうけれど、実年齢はそんなに行ってないか? もっとも口調とか物腰でどうにも実年
齢以上の落ち着きと懐の深さを感させられるのですが、それもまたシマの魅力の内。
物語を形作る雰囲気、そしてキャラクター達の感情描写、進めば進む程に地味で淡白
な印象を与えてくれる。但しこれは良い意味の表現で、逆に話の起伏や感情が目に見え
て上下に激しく揺れる描写だと、この物語にはそぐわなかったんじゃないかなと。
三人称文章で描いていながら、大抵シマが中心に居る。だから彼の印象度や彼への感
情移入度が高いものになる。しかし惜しむらくはシマに集中している為、シマ以外の部
分で物足りなさを覚えてしまう点。シマの妻娘について、ナツの両親について、事の発
端であるカガミ司祭の心情、敵であるサカザキやストウの内面、もっと掘り下げて欲し
かったと思う要素は最低でもこれだけある。今回で終わったのものは除くとしても、シ
マとナツ関連の事は二人の絆を描いて欲しいと願う上で次巻に期待したいです。
2005/09/12(月)ヴぁんぷ!III
(刊行年月 2005.08)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:成田良悟/イラスト:エナミカツミ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
収束し損ねた? でも今までの作品で、ごちゃ混ぜでとっ散らかったものは割と最後
までそんな感じのままだったかなぁ? 幾つかの重要な要素がほぼ同量で描かれつつ一
本の線に纏まる……という流れを想像していたのですが、実際にはちょっと違ってた。
あちこちの状況をちょこちょこフォローしながらも、後半のメインは終始ルーディの
テオへの復讐劇でしたが、これに他の色々な出来事が上手く合わさらなかったような気
が……正確なイメージで言うなら“綺麗に絡めなかった”でしょうかね(いつも巧妙な
“構成の上手さ”みたいなものを過剰に求めてしまってるのかも知れませんが……)。
で、私が噛み合わせがしっくり来ないと感じた一番の原因はヴァルとセリム。単体で
見るならヴァルの存在価値、存在意義、存在理由で悩み迷う姿と、傍らに咲く花のよう
に寄り添うセリムのエピソードが混ざり合う描き方は凄く好きなんですよ。しかしルー
ディの件と絡む必要性は薄くて、更にルーディの復讐劇に押され結局影が薄くなってし
まい勿体無かった。ヴァルとセリムは別の機会のメインでやってくれてたらなと。
ただ、あとがきによると枚数オーバーで後半60頁程削ったそうなので、フォローし
切れなかった分は短編集らしい次巻にきちっと収めてくれるのではないでしょうか。一
応解決まで導いてくれたルーティの復讐については、感情描写(特にルーティとテオ)
も伏線の解き方も良かったし、前半同様抜群の牽引力で楽しませてもらえました。
既刊感想:I、II
2005/09/11(日)ヴぁんぷ!II
(刊行年月 2005.06)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:成田良悟/イラスト:エナミカツミ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
前巻読んだの一年以上前だったもんで色々な要素が頭からすっぽ抜けてたけれど、ゲ
ルハルト子爵の“姿”だけは忘れようにも忘れられずで覚えてた。2巻目から読む人は
まず居ないでしょうが、1巻での“バレたら確実に面白さ半減”な仕掛けがこの巻で盛
大にバラされているので要注意と一応(子爵の事とかヴァルの正体とか、あと閑音の本
性もだったかな? これは記憶曖昧ですが)。要は黙って1巻から読もうという事。
今回は次巻と合わせての前後編エピソード。この前編は核心へ話を突き進める為の準
備段階、それがようやく終わって全て整った所まで。幾つもの仕込みや仕掛けをどう紐
解いてゆくのか? を予想しながらの楽しみ方。それから退屈な奴など一人も存在しな
い個性的なキャラクター達の騒動による面白さ。実に巧妙で的確に「読ませられる」内
容は流石の一言。ただ、上記の通り準備の域を出ていないので全ては下巻の展開次第。
これだけ多数のキャラクターを投入していれば、活躍頻度にバラつきが出てしまうの
も仕方の無い事か。もっとも著者の成田さんの作品が前後編や上下巻になった場合、大
体前半の穴埋めを後半できっちり成し遂げてくれるので、あまり心配はしていない。
この前半戦だけでも見せ場は非常に多く、一つ一つ取り上げてゆくのは大変なので、
特に印象に残ったのだけ簡潔に。格好良い! シビレた! と歓声上げたくなったのが
ミヒャエル。意外な正体に驚かされたのが博士。笑えそうで案外抜け目なさそうなのが
カルジミール。心の行く先が気になっているのがヴァルとルーディ。他にミヒャエル絡
みで傷心のフェレット、静かに怒りを溜めるレリック、まだ登場していないヒルダ……
などなど。後半も怒涛の勢いで押し寄せてくる登場人物達の波に埋もれさせて下さい。
既刊感想:I
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