NOVEL REVIEW
<2007年03月[後半]>
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03/28 『蒼穹のファフナー』 著者:冲方丁/電撃文庫
03/26 『スカイワード3』 著者:マサト真希/電撃文庫
03/18 『ガンズ・ハート4 硝煙の彼方』 著者:鷹見一幸/電撃文庫
03/17 『マージナル・ブルー 空曜日の神様』 著者:水落晴美/電撃文庫
03/16 『埋葬惑星III Bioody Moon,Holy Night』 著者:山科千晶/電撃文庫


2007/03/28(水)蒼穹のファフナー

(刊行年月 2005.01)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:冲方丁/イラスト:平井久司/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  同名アニメのノベライズ。ファフナーは途中までしか観てなかったから、中途半端な知 識で臨むべきかどうか迷ったのだけど、冲方さんが執筆されてるからって事で結局読んで みる事に。小説版エピソードは、世界の事情を知り否応なく戦いの渦に飲み込まれてしま った現在から、まだ何も知らずに過ごしていた平穏な日々が壊され始めた頃の回想を一騎 視点で描いたもの。アニメでは見えなかった事情も幾つか含まれている……のかも。  とりあえず翔子がどうなったか……の部分までは辛うじてアニメで追えていたので、多 少なりとも小説版エピローグに感じ入る事が出来たのは良かったかなと。ただ、過去回想 とは言っても現在に至るまでのダイジェスト版という印象はどうしても拭い切れず、これ だけで満腹になるかどうかは微妙な線かも知れない。それでも一騎を始め真矢、総士、翔 子の感情描写はアニメとはまた一味違った手応えで、半端知識ながら充分楽しめました。 2007/03/26(月)スカイワード3
(刊行年月 2004.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:マサト真希/イラスト:橘由宇/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  悲劇の象徴・マリン一家、破壊と絶望の象徴・凶人マゴウ、そして希望の象徴・舞巫女 姫ナナ。どうやら中性体=マゴウの人間に対する復讐が物語の主軸となるようで。現在は ただ一国の殺戮兵器という“道具”として使われるままに身を任せているのだけれど、果 たしてマゴウの復讐心を利用する側の人間が、利用するままで居られるのかどうか。  忘れかけていたものは、読んでいる内に何となく思い出せて来た。今回のアケルは、ナ ナと二人きりの一時に身を委ねる事が出来たのも束の間、直ぐに離れ離れ。後の展開では 彼は割と物語の蚊帳の外。関わりたくても敵側の力が圧倒的過ぎる為、今は逃げて生き延 びるだけで精一杯な状況。何とか反撃の一手を模索して切り込んで欲しいものだけど。  しかし……何が最も残酷かと言えば、こんな所で打ち切り喰らってしまった事実ほど残 酷なもんはないでしょ。これで続き出ないなんて……そりゃないよな〜と肩を落とす以外 にどうしろと? せめてあと一冊。駆け足でも何でもいいから完結させて欲しいよ……。  既刊感想: 2007/03/17(日)ガンズ・ハート4 硝煙の彼方
(刊行年月 2004.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:鷹見一幸/イラスト:青色古都/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  西域国の“困ったちゃん”サルート。教団内部の“困ったちゃん”メタクサ。これで東 域国にも目立った“困ったちゃん”が居れば“困ったちゃんトリオ”が完成する所だった のに。そこまでの御方は見られなかったので、最も無難な戦力が整っているのは実は東域 国なんではないか? とか何とか思ってみたり。まあ無難な分だけ、西域のケリンやD. Dみたいな“規格外”の常識外戦術に、どうしても遅れをとってしまうのだろうけど。  これまで対『スタンピード』、対『知の教団』の連戦を制して来た西域国。今回遂に東 域国との東西戦争勃発。その開戦直後まで。予定では確か今巻で完結だった筈だけど、さ すがにこれだけ大掛かりな展開なので結末は次巻へ持ち越しとの事。ん〜、西域、東域、 教団の全ての事情を上から見通せる状況の読み手側からすると、三方の言い分が納得出来 ているだけに非常にじりじりさせられたり、もどかしい気持ちになってしまったり。平和 的解決の道も残されてはいたんだけど……なかなかそう簡単に事は運ばないもんだねぇ、 と溜息が漏れるばかりで。この東西全面戦争に陰で動く教団を絡め、果たしてどんな結末 を見せてくれるのか? どう転ぶかちょっと予想立て難い状況なので楽しみな所。  既刊感想: 2007/03/17(土)マージナル・ブルー 空曜日の神様
(刊行年月 2004.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:水落晴美/イラスト:狐印/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  『四月三十一日』の数字が書かれた卓上カレンダー。架空の日付は『空曜日』。そのマ ス目の中に叶えたい願いを書くと、その願いが成就すると噂されているおまじない。今、 この“空曜日におまじない”が女子生徒の間で絶対乗り遅れちゃいけない最もホットな話 題……なんてのを聞かされると、「まあ、何てファンタジックでメルヘンチックで乙女ち っくなお話なんでしょう」とか想像しがちなのだけど、そんな風に騙されてはいけない。  いや、初っ端から女子生徒が飛び降り自殺やっちまった、とか描かれてる時点でそんな 綺麗なもんじゃないだろう? というのはある程度想像付くんだけど、こうもオカルトチ ックで怪談染みた方向へ傾いてしまうとは思ってもみなかったよ。見える世界(こちら側) と見えない世界(あちら側)の境界線(あわい)に位置する世界の物語で、その辺につい て妙に小難しい講釈が挿入されたお陰で、理解するまで少々頭抱えてしまったり。  あと表紙からガチ百合展開を期待してたのに、そういう要素が割と薄味だったのはちと 残念(葵と茜は訳ありな関係で非常に深い絆を有していただけに、あまり押してくれない のは勿体無いよ〜)。あとがきによると次はまた三年後に……って冗談じゃなくなりつつ あるぞ。でもまだ三年経ってないから続きで未解決なままの部分を描いて欲しいなぁ。 2007/03/16(金)埋葬惑星III Bioody Moon,Holy Night
(刊行年月 2004.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:山科千晶/イラスト:昭次/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  表の主人公と言われているフラン視点では巡礼の旅、だったかな? 一冊に一つの埋葬 惑星を舞台とし、順次渡り歩いて繋げて最終目的地点へ到達するまを描く……予定だった と思われる。でも、それがここで打ち止めと分かっちゃってるもんで、色々と謎が残され たまま終わってやしないだろうか? なんて不安感と、おそらく三巻程度では目的達して ないだろうからきちっと完結してるわけじゃないよなー、なんて諦めと、それだとちょっ と残念に思うかも知れない……なんて寂しい気持ちと。読む前からごちゃごちゃ。  読了した直後に感じたままの勢いで物言うなら、フラン関係については一応納得出来る 形で締められていたけれど、裏の主人公であるモノローグ関係は結局目的達成しないまま 終わってしまったので残念な結果に(この先がないと確定してるので余計にね……)。  フランはこれまでずっと背けていた過去の痛みと向き合いきちっと清算。結構頼りなげ だった様子から一転、今回の事件が終わってみれば力強い心の成長を遂げていて、そんな 彼女の姿を見れた事が凄く嬉しくて。更にフランをお荷物扱いしてたモノローグの見方が、 随分変わってくれていたのも良かったなと。一方モノローグの方は掴んだ手掛かり空振り でまた振り出しに戻る結果だったので、次の展開も追ってみたかったんだけどねぇ。  既刊感想:II


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