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05/15 『あめーじんぐ・はいすくーるII 魔法の授業、始まりですか?』 著者:長野聖樹/富士見ファンタジア文庫
05/14 『カタリ・カタリ トキオカシ2』 著者:萩原麻里/富士見ミステリー文庫
05/14 『かりん 増血記9』 著者:甲斐透/富士見ミステリー文庫
05/13 『GOSICKsIII ―ゴシックエス・秋の花の思い出―』 著者:桜庭一樹/富士見ミステリー文庫
05/10 『ぼくのご主人様!?4』 著者:鷹野祐希/富士見ミステリー文庫
05/09 『かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリスI』 著者:海冬レイジ/富士見ミステリー文庫
05/08 『セカイのスキマ3』 著者:田代裕彦/富士見ミステリー文庫
05/07 『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー』 著者:新井輝/富士見ミステリー文庫
05/05 『かりん 増血記8』 著者:甲斐透/富士見ミステリー文庫
05/05 『ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ』 著者:尾関修一/富士見ミステリー文庫
05/03 『僕たちのパラドクス ―Acacia2279―』 著者:厚木隼/富士見ミステリー文庫
05/02 『GOSICKVI ―ゴシック・仮面舞踏会の夜―』 著者:桜庭一樹/富士見ミステリー文庫
05/02 『SHI−NO ―シノ― 愛の証明』 著者:上月雨音/富士見ミステリー文庫
05/01 『しずるさんと無言の姫君たち The Silent Princess In The Unprincipled Tales』 著者:上遠野浩平/富士見ミステリー文庫
□2007/05/15(火)あめーじんぐ・はいすくーるII 魔法の授業、始まりですか?
(刊行年月 H18.12)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:長野聖樹/イラスト:芦俊/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
び、微妙だ……。前巻も微妙な感触だったけど今回はそれに輪を掛けて微妙だ。和泉の
強大な潜在能力云々が物語の伏線でありメインになるのかと思いきや、他愛ない日常学園
生活風景が描かれていたり、意外と力の入った魔法授業が描かれていたり、油揚げ&明太
子&女子制服盗難騒ぎの犯人追跡が描かれていたり、あとは飼育同好会対生徒会の構図か
らいつの間にやら悪霊退治の共闘戦線を張ってみたり……何かね、ふらふら〜っとあっち
こっちに落ち着きなく首突っ込んでいる割に、どれもこれも中身が冴えないんだよなぁ。
希望はどこか焦点を一つか二つ程度に絞って欲しいとこなんだけど……。私は魔法授業
の設定が意外としっかりした作りになっているな〜と思えたので、その辺を中心に描いて
くれるともっと楽しめそうな気がする(問題なのは次があるかどうか)。まあ今回は妖孤
のヨーコたんが念願の擬人化を果たしてくれただけでも良しとすべきなのかも知れない。
既刊感想:I
□2007/05/14(月)カタリ・カタリ トキオカシ2
(刊行年月 H19.05)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:萩原麻里/イラスト:鹿澄ハル/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
ん……あ……え? と。何て言ったらいいのやら……ご愁傷様? い、いやいやいや、
それじゃあまりに酷い言い草なので撤回するとして、これはしかし……読了後に何とも複
雑な気分に陥らせてくれる内容だなと。物語自体は前回同様好感触で凄く良かった(何気
に誠一と眞名のいちゃつき度数がアップしてるのも高得点)のだけど、これが『完結編』
なんだよと突き付けられて納得出来る読者って居るんかな? というくらい酷過ぎる打ち
切りっぷりに絶望した。こんなにもしっかりした現在の十一人の時置師と<対>の設定が
存在していながら(あとがき参照。ただし重大なネタバレが含まれているので要注意)そ
りゃないよな〜。何となく著者の方の無念も端々に滲み出ている気がして切ないよ。
ようやく時置師が過去に犯した『罪』の謎や、それによって今もなお時置師を縛り続け
る『罰』の連鎖から解き放たれる為の方策について、加えて前巻登場しなかった時置師と
<対>も揃い始めて来たってのに何とも勿体無い。他で続き出せないのかなぁ……。
既刊感想:1
□2007/05/14(月)かりん 増血記9
(刊行年月 H19.05)★★★★★★★★★☆(9/10)
[著者:甲斐透/原作・イラスト:影崎由那/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
前巻からの続きで、これにて小説版シリーズ完結。ノエルに吸血さてしまい吸血鬼であ
る果林を嫌悪し憎む健太と、そんな事が起こっているとはこれっぽっちも知らずに人間と
吸血鬼の“種族の壁”という問題に悩み苦しむ果林……いや〜、このまま二人の仲が戻ら
ないとは全く思ってなかったけど、それでも傷心果林にやさぐれ健太を見てると、どうに
も気持ちがモヤモヤギスギスして落ち着けなくて。だから元の鞘に納まると信じていても
最後はホッと一息。この物語で如何に二人のいちゃつきが重要かを思い知らされたよ。
さて最後に。このシリーズ、原作の雰囲気そのままに、原作との相乗効果で一層面白味
が増し、原作を知らなくても抵抗なく入り込む事が出来、原作の方にも触れてみたくなる
ような内容で、さらに小説版オリジナル要素も充実……と、ノベライズとしては全編通じ
て非常に好感触で面白く楽しく読ませてもらえて大満足でした。まだ未解決な部分(果林
の増血鬼要素について)がちらっと顔を覗かせていたけれど、その辺りは連載が続いてい
る原作コミックの方で取り扱っているらしいので、今度はそちらを追ってみる事に。
既刊感想:1、2、3、4、5、6、7、8
恥じらいダイアリー1、2
□2007/05/13(日)GOSICKsIII ―ゴシックエス・秋の花の思い出―
(刊行年月 H19.04)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:桜庭一樹/イラスト:武田日向/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
一弥に対し……叩こうが蹴ろうが無視しようがさらっと辛辣な言葉を投げようが不貞腐
れようがソッポ向こうが、おおよそどんな反応を示しても“構って貰いたい”ようにしか
見えないヴィクトリカがもう可愛いったらありゃしない。長編よりも短編集の方が、一弥
とヴィクトリカのの距離が一層近くにあるように感じられるのは、場所が図書館の上だろ
うと迷路庭園の中のお菓子の屋敷だろうと、短編エピソードの場合“二人だけの世界”が
強調される傾向にあるからかも知れない。アブリルが迷ってしまうのは、やっぱりヴィク
トリカが他者の一弥への好意を意図的に排除しようとしているからなんだろうか?
今回は『花言葉』と『女性の恋と人生』の物語。この辺りは短編エピソードながら、桜
庭さんお得意の題材で持ち味を充分に発揮されていてどれも面白かった。個人的には第二
話『永遠』が好み。ヴィクトリカの解説編で、思いも寄らぬ意外性が最も感じられたエピ
ソードだったので。次は長編かな? 意味深なラストの語りが果たして何をもたらすか。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI
sI、II
□2007/05/10(木)ぼくのご主人様!?4
(刊行年月 H19.04)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:鷹野祐希/イラスト:和泉つばす/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
ええー? メイド世界の春生と現実世界の晴生に入れ代わりが起こらなかったのって、
春生の高所恐怖症が原因だったのかー? 今回のあとがき解説見るまで、そんな設定が存
在してたなんて知らなかったよ。この二人の入れ代わり体験はさぞ面白い事になるだろう
な、と想像巡らせてたので、実現の可能性が無くなってしまったのは残念でならない。
ただ、春生に関しては主役的立ち位置で美味しい活躍を見せるエピソードが二つ程描か
れていたので、少しは報われて良かったんじゃないかなと。恋多き性格、体型(とりわけ
胸)を気にする性質、他人の動向や感情や体型(とりわけ胸)の細かな変化を的確に見極
める観察眼など、良いとこもそうでないとこも含めて春生の魅力が充分に出ている。
個人的に最も印象に残ったのは現実世界での学園祭エピソード。こっち側に戻ってから
の吉朗と麻琴の様子はあんまり触れられる事が無かったから(元々このシリーズにはこう
いうラブコメ話を望んでたんだよなぁ)。この二人に加えて千広の事情なども知っている
為、メイド関連で吉朗が一々ボロを出しては何かを失い続けてゆく様が実に面白可笑しか
った〜。続きは多分出来ないと思うんだけど……間違いが起こったりするんだろうか?
既刊感想:1、2、3
□2007/05/09(水)かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリスI
(刊行年月 H19.03)★★★★★★★★★☆(9/10)
[著者:海冬レイジ/イラスト:松竜/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
おおー、これはなかなか良いLOVEとミステリの融合。何故、物語の時系列をあえて
乱しているのか? 下手をすれば複雑になり過ぎて把握し辛い状況に陥ってしまう、とい
うリスクを背負う事になってでも描くだけの意味がそこにはちゃんと存在しているんだろ
うか? 最初の内に浮かんでいたのはそんな疑問とか心配とか(あまりそうする必要性が
感じられないのに構成を複雑にされても、多分面倒臭いと思うだけだろうからねぇ)。
結果としては意味も必要性もある。誓護が期間限定的に得た“過去を探る能力”の要素
によって、無理なくうまい具合に丸く収まってくれた。まあ元々現実的とは言い難い能力
ではあるのだけれど、それを言っちゃ先に進めないので細かい事は気にしない、と。
でも! それよりも何よりも! アコニットの異常なまでの可愛らしさがこの物語には
最も重要な要素なんだよ! ……と声を大にして言ってみたくなった。“ツン”寄りから
“デレ”に寄るまでの描き方が絶妙で素晴らしい。恐怖感を相手に与えるよう演じている
けれど、根本的には良い娘なんだよな〜(そこで可愛さを更に際立たせてくれている)。
どうやら最初から強気にシリーズ展開予定。アコニットの過去や周辺関係はまだまだ不
明瞭な点が残されているので、断片的な箇所を少しずつ明らかにしてくれたらなと。
□2007/05/08(火)セカイのスキマ3
(刊行年月 H19.03)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:田代裕彦/イラスト:綾瀬はづき/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
何だか唐突に第二部完。これって意図的に『怪異』という後味を色濃く残すような結末
にしてみせたのかな〜? それならそれも“あり”だろうか……と納得出来なくもないん
だけど、それでもやっぱり不完全燃焼って気持ちが大きくて。そんなに刊行期間が空いて
たわけじゃないのに、哲が“狭間の住人”である事とか、りこが怪異を発現させようとし
ている事とか、作中で指摘されるまで結構頭から抜け落ちてたりしてたんだよねぇ……。
と言う事は、結局描いて欲しいと思っていた要素が今回の話の中ではあんまり取り扱わ
れなかったわけで、物足りなさはその辺に掛かっていたのかも知れない。おまけに最後の
みこの扱いについても……こんな事になるなら、もっと哲といちゃついてくれても良かっ
たのに〜。今更だけどこの物語にはL・O・V・E要素が圧倒的に不足してると思うよ。
で、皆して哲を弄り過ぎ。そこだけ妙に描写に力入ってる気がするんだよなぁ(他のト
コでもっと力入れてよ〜)。とりあえずこれで完結だと困ってしまうので第三部希望。
既刊感想:1、2
□2007/05/07(月)ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー
(刊行年月 H19.02)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:新井輝/イラスト:さっち/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
九条鈴璃、鍵原ツバメ、八雲狭霧、薫沢歌織。この四人の一人称視点で描かれている短
編集。自分自身ではなかなか明確な答えが出せない女の子の問題、悩み、疑問など。傍ら
から見たら割とどーでもいい些細な問題から、当人達にとっては深刻で微妙で際どい悩み
まで、色々様々包み隠さず赤裸々に語り尽くさせよう……ってのが今回の主旨かな?
しかしこうやって幾つかの違う視点から眺めてみると、主要登場キャラクター達って皆
結構距離が近い所で人間関係を形成してるんだなと。知り合いを順番に辿って行けば全員
が全員とあっさり顔見知り顔馴染みになれるような、そんな距離感。けれど至る所で会え
そうで会えない“ズレ”みたいなのが生じていて辺り、興味深く面白く思ったりも。
あとはもう『ああんっ! メガネ様☆』の存在が、美味しい所を殆ど攫って行ってしま
った。あちこちのシーンで話題になってたもんなぁ。早苗は明言してないけど、メガネ様
のモデルは絶対刻也だよな。恐いもの見たさでちょっと中身を覗いてみたい気も……。
既刊感想:#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7、#8
しょーとすとーりーず・わん、つー
□2007/05/05(土)かりん 増血記8
(刊行年月 H19.02)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:甲斐透/原作・イラスト:影崎由那/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
次で完結って事で。小説版シリーズ中で最も意気込みが感じられた前後編エピソード、
まずは前半戦。晴れて恋人同士となった……と言うより、そんなの元々周知の事実なのに
当人同士だけが何時まで経っても認めやがらねぇ! というヤキモキ関係にようやくピリ
オドを打って前進した果林と健太。そんなラブラブバカップルの二人に危機的状況が訪れ
るとしたら、可能性高いのはやっぱし強力な恋敵の登場だろうか? なーんて結構のほほ
んと構えてたのだけど(だってこれだけ強固な恋人関係になっちゃったら、ちょっとやそ
っとの衝撃じゃ揺らぎようもないと思うもの)、こいつはなかなか想定外の事態だ。
私の場合は健太の葛藤に感情移入したい派なもんで、杏樹が乗った“賭け”に関しては
ちとやり過ぎで行き過ぎかなぁ、なんて思ったりも。姉である果林を案ずるが故の行為だ
って事は充分理解してるつもりなんだけどね。まあ結末は間違いなくハッピーエンドと信
じて疑わず、果たしてどんな過程を経て辿り着くか。あとは統子の動向が気になる所。
既刊感想:1、2、3、4、5、6、7
恥じらいダイアリー1、2
□2007/05/05(土)ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ
(刊行年月 H19.01)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:尾関修一/イラスト:山本ケイジ/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
第6回富士見ヤングミステリー大賞『佳作』受賞作。
う……あ、頭から煙が出た。プスプスと。いや、多分読んでるこっちの読解力と言うの
か理解力というのか、とにかく飲み込みの悪さが原因に違いないと思うので、もう「ごめ
んなさいっ!」と謝ってしまう。非常に練り込まれた構成、緻密に計算された仕掛け、そ
して良い意味で“昨今の富士ミスらしくない”雰囲気から得られたインパクト、どの要素
を切り取ってみても実に高水準だと思う。ただ、物語が進めば進む程、自分の頭の中で時
系列の整理が追っ付かなくなっちゃってねぇ……。終いにゃ「出来事を時系列順に並べた
表が欲しかった」とか、盛大なネタバレに繋がるもんを望んでしまうダメっぷり。
この物語。実際には組み立ての妙を予想し考え推理などして、じっくり噛み締めるよう
に味わってゆくのが本当の楽しみ方だよなと。私もそんな風にやってたんだけど、途中で
挫折気味に陥ってしまったという訳で(ちなみに不足分は再読して補う事が出来たよ)。
□2007/05/03(木)僕たちのパラドクス ―Acacia2279―
(刊行年月 H19.01)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:厚木隼/イラスト:QP:flapper/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
第6回富士見ヤングミステリー大賞『大賞』受賞作。
そもそも扱われている題材の『タイムパラドックス』って何ぞや? まずそっから出発
しなきゃならんわけで。さぞや難儀しそうだなおい、と読む前から相当に尻込みしてたの
だけど……あれ? これは意外に“素人には結構良く分かるタイムパラドックス”な内容
だったぞ。少なくとも私には描かれているタイムパラドックスに対し、細かいとこに突っ
込み入れられるような頭は持ち合わせていない為、把握し易いだけでも充分な手応え。
しかし、前半から中盤にかけてはハルナが帰るべき未来が失われた謎を追うだけ追って
一向に進展が見られなかったから、「これ……もしかしてヤバイか?」なんて不安が膨ら
みまくってしまったよ。結局の所どうだったかと言えば、後半から終盤にかけての物語の
畳み方になかなかの巧さが感じられたので、膨れた不安も杞憂に終わりホッとした。
種明かしをするまでちょっと引っ張り過ぎな気もしたけれど、未来が消えたのは一体何
故? の“何故?”の部分に謎を追う楽しみがしっかり乗っていたので良かったなと。
□2007/05/02(水)GOSICKVI ―ゴシック・仮面舞踏会の夜―
(刊行年月 H18.12)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:桜庭一樹/イラスト:武田日向/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
前巻の続きで、聖マルグリット学園へと帰還すべくの列車移動。とは言っても、前巻か
ら関連性が続いているのは『形見箱』と、ヴィクトリカの実母であるコルデリア・ギャロ、
実父のアルベール・ド・ブロワ公爵、そして謎の人物ブライアン・ロスコーとの掴み切れ
ない人間関係の残り香のみ。殺人事件という枠組みに関しては今回新たに勃発したもの。
事件内容については、真相知って「あ〜なるほどね〜」と納得させられる程の適度な捻
り具合。まあこのシリーズの場合、最優先最重視で期待してるのは『殺人事件』『謎解き』
とかではないので、事件の組み立てや描き方などの手応えは適度でも充分と言った所。
最優先最重視の期待は、勿論ヴィクトリカと一弥が事件を通じて絆を深め合ってゆく過
程。極端に言うとこれ一点のみで。今回も大事な局面でしっかり心が繋がっている二人を
見てニヤニヤが止まらない。ヴィクトリカは真犯人の前でなんかじゃなく、一弥に向けて
その本音を聞かせてやればいいのにねぇ(そう出来ない所がまた可愛らしいのだけど)。
既刊感想:I、II、III、IV、V
sI、II
□2007/05/02(水)SHI−NO ―シノ― 愛の証明
(刊行年月 H18.12)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:上月雨音/イラスト:東条さかな/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
シリーズ第4巻。ミステリー文庫としてはミステリ要素を前押しかつ強調しないと拙い
だろ? と、すぐさま思わなければならない方向性に進むべきなのが本来望んでいたスタ
イル“だった”筈なのに……何ゆえこれ程違和感を募らせなければならないのだろう?
いや、今回みたく探偵役の登場人物(達)が犯人を推理しつつ謎を解いてゆくのを最重
視した展開って、個人的には非常に好みな内容なんだよ。でも、気がつけば心の何処かで
「それよりもっとL・O・V・E重視してくれよ!」とか叫んでしまっている自分が居て、
それを全くおかしい事だと思わない所がまた……何て言ったらいいのやら……ねぇ? ミ
ステリ的には好みだが、富士ミス的には好みと違う、なんて妙な結論に(まあ改めて考え
てみると、作品内容とは関係の薄い割とどーでも良い事なのかも知れないけれど)。
今回はサブタイトルに忠実な内容で、そのものズバリな『愛の証明』がテーマ。大きく
分けて『真犯人』『僕』『志乃』の三人の証明の形、となる。特に志乃の場合、僕に対す
る想いというのか、そういう感情面がこれまでと違って劇的に分かり易く表に出ていので
はないかと(それでも相当な分かり難さではあるが)。その辺りが凄く良かったな。
既刊感想:黒き魂の少女
アリスの子守唄
天使と悪魔
□2007/05/01(火)しずるさんと無言の姫君たち The Silent Princess In The Unprincipled Tales
(刊行年月 H18.12)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:上遠野浩平/イラスト:椋本夏夜/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
シリーズ第3巻。白雪姫。人魚姫。眠り姫。赫夜(かぐや)姫。4つの御伽噺の裏の解
釈と、よーちゃんが語る情報不足気味な殺人事件の謎とを繋げて、病床のしずるさんが冷
静かつ鮮やかに解き明かしてゆく。これが今回の“安楽椅子探偵”物語の主な内容。
私は自力で「謎を解いてやる!」という意気込みも気力もさっぱり持ち合わせていない
為、しずるさんが導き出す真相をただただ追うばかり。そもそも、数少ない情報から正答
へ辿り着いてみせるしずるさんの思考を辿るのが楽しみであり、またこの作品の醍醐味だ
と思っているので、自分では全然分かんなくても「それでもいいや」といった具合で。
それに。正直殺人事件なんぞよりも、しずるさんの過去や病状など色々明確になってな
い要素の方が余程気になって仕方がない。まあこれは毎度の事なんだけど、多分謎のまま
なんだろうなと。あとはよーちゃんとずっといちゃいちゃしてくれればそれで満足だ。
既刊感想:しずるさんと偏屈な死者たち
しずるさんと底無し密室たち
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