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06/29 『ちーちゃんは悠久の向こう』 著者:日日日/新風舎文庫
06/29 『ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター[上]』 著者:細江ひろみ/ファミ通文庫
06/27 『殺×愛0 ―きるらぶ ZERO―』 著者:風見周/富士見ファンタジア文庫
06/27 『魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道I Saudade――サウダーデ』 著者:山田典枝/富士見ファンタジア文庫
06/25 『9 TAILS ―ナイン・テイルズ 疾風のサキ―』 著者:南房秀久/富士見ファンタジア文庫
06/23 『まおうとゆびきり3 こいのめろでぃ』 著者:六甲月千春/富士見ファンタジア文庫
06/23 『タクティカル・ジャッジメント7 思いこみのリベンジ!』 著者:師走トオル/富士見ミステリー文庫
2005/06/29(水)ちーちゃんは悠久の向こう
(刊行年月 2005.01)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:日日日/イラスト:河野雅美/新風舎 新風舎文庫]→【bk1】
「僕」と幽霊好きな幼馴染みの少女「ちーちゃん」の物語。ちーちゃんがたとえ幽霊
好きでも幽霊を見たいと願っても幽霊の存在を疑わなくても、やっぱりどこか現実的で
はない空想の産物という僕の観点から、最初はもっとコミカルで面白可笑しい内容を想
像してました。でもまあそうあって欲しい望みが先走ってただけで、あらすじに目を通
せば分かるように、明るく楽しい方向の話ではない。ただ、僕もちーちゃんもここまで
病んでいる(病んでゆくようになる)とは思わなかった。僕の家庭環境を垣間見た時点
で、「あ〜もう既に踏み込んじゃいけない非日常に浸かっているのか」という嫌〜な臭
いは感じてましたが。崩壊が決定的になったのは『苔地蔵様』に触れたあの時か。
一番最初の原点から最後の最後まで信じて欲しかったちーちゃんと、結局一番最初に
幽霊の話を聞かされた時から現在に至るまで心の奥底で否定を続け信じる事が出来なか
った僕。ちーちゃんが悠久の向こうへの旅立つのを表面でどれだけ引き止めようと取り
繕っても、根底でどうしても覆らないものを抱えていたのだから、この終幕は最初から
無意識の内に二人の間で約束されたものだったのかなと。そんな気がしてならない。
総じて面白かったし、個人的にはとにかく読み進め易かったのが大きい。じわじわ締
め付けられる様な恐怖感が心地良く、最後の締め方も何とも嫌らしくスッキリしないも
やもや感を残してくれるんだけど、そこでも妙な満足感で一杯にさせられてしまった。
2005/06/29(水)ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター[上]
(刊行年月 2005.06)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:細江ひろみ/カバーイラスト:大峡和歌子
/本文イラスト:笛吹りな/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
同名ゲームの小説版。毎度の如くこのシリーズのノベライズは、ゲームシナリオ忠実
再現=重要な部分のみ切り取って貼り合わせたダイジェスト版。説明調の語りがやたら
と多いのも特徴なのですが、今回の場合は結構キャラクターの台詞の中に混ぜてあるか
ら、説明が延々と続いてウンザリさせられる事はあまりなかったと思う。
私はゲームの方はまたもや途中で投げてしまったので、進めてなくて知らなかった所
からはそれなりに楽しめてました。世界観や各種設定を懇切丁寧に描いている辺りは、
ゲーム未プレイの人に優しい配慮なのかも。ただ、逆にプレイした人にとっては退屈な
んじゃないかなぁ……と感じたりも。まあとにかく端折り方が凄いのなんのって。
雑魚戦はともかく、ジュード達とブリューナクとの戦いは物語の見せ場の一つなのに、
どれも軽く触れるだけであっさり流しているんじゃ盛り上がれる訳がない。そもそも上
下巻で収めようとしている時点で無理があるような気がしてならない。ゲーム未プレイ
の内は下巻も楽しめそうだけど、駆け足になってしまうのはどうしようもないのか。
2005/06/27(月)殺×愛0 ―きるらぶ ZERO―
(刊行年月 H17.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:風見周/イラスト:G・むにょ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
ドラゴンマガジンの第七回龍皇杯優勝作品。ここ近年の優勝作『拝啓、姉上さま(第
五回)』や『イレギュラーズ・パラダイス(第六回)』など、いずれも伸び悩んで駆け
上がれなかったので、このシリーズは勢いに乗って伸びて行って欲しいものですが。
まずはタイトル巻数の通り、一冊丸々使って序章段階が描かれています。そんな訳で
「まだ分からん事が多いなー」という感想が大きく、ただし先への興味を引く為にあえ
て黙して語らずな雰囲気もあるので、本編突入前の掴みとしては充分ではないかと。
何せヒロインらしきキャラの登場が最後の最後なもんで、密との絡みが殆ど無いまま
なんですよね。ただ今後の付き合い方は理解したし、咲夜が投げた最後の一言はインパ
クト抜群だったので、「これからどうなるの?」という楽しみが増したのは確か。
しかし途中のあれはショックを受けてしまった。だってね〜紆余曲折あってようやく
繋がったと言うのに、そこに至るまでのまどろっこしい過程を丁寧に描いていたと言う
のに、その直後にいともあっさり……だもんなぁ。容赦が無いのはこの世界が急速に終
わりへと向かっている事実を際立たせる為かどうか。来夏なんかも幼馴染みと油断して
ると簡単にやられそうで怖い。密は涼しい顔で否定してるけど、現時点で最も大事に思
っているのはどう見ても来夏しかいないので、最後まで関わり続けて欲しいと願う。
2005/06/27(月)魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道I Saudade――サウダーデ
(刊行年月 H17.06)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:山田典枝/イラスト:よしづきくみち/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
落ちこぼれのナミが逃げてばかりな為か、思ってたよりも“魔法遣い”という設定が
深く絡んで来なかった(それともまだ一巻目だからこの位なのか)。目を逸らして逃げ
ている所から、ちょっとした切っ掛けでようやく魔法遣いの自分と向き合えるようにな
るまでのナミを描いているのが今回の内容。ただ、魔法遣いの事よりナミを中心とした
恋愛模様の方が扱いは大きいと思う。恋愛を通しての心の成長から魔法遣いとしての成
長へと繋げ、それらを掛け合わせナミという女の子を描いてゆくのかな?
……とかなんとかごちゃごちゃ書き連ねてますが、実は親友同士での恋愛部分がめち
ゃくちゃ好みのストーリー展開でした。思わずごろごろ転げました。意外とナミ以外の
キャラでそういうのが多かったかなぁ。途中で「もしかして……」と感じてやっぱりそ
うだった千花とか千花とか千花とか。理恵子のナミへの気持ちは簡単に修復出来そうに
ないし、それすら気付いていないナミは龍太郎への想いを募らせているし、これからど
うなってくのかもう楽しみで楽しみで。気になる点は、龍太郎の母親に一体何が起こっ
たのか? ナミが保有している龍太郎の手帳をどのタイミングで返すか? など。
ちなみにこれ読んだ後にコミック版を読んで内容ほとんど一緒なのを知ったのですが、
コミック版を先に読んでいるとこちらで物足りないと感じてしまう……かも知れない。
2005/06/25(土)9 TAILS ―ナイン・テイルズ 疾風のサキ―
(刊行年月 H17.06)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:南房秀久/イラスト:シンゴ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
この物語の舞台であるトロンヘイム王国の内乱。王に従う王都守備隊と、王に反旗を
翻す反乱志士との血の臭いが色濃く漂う殺し合いは終わる事を知らず。お互いが掲げる
正義の為に衝突を繰り返し、その都度決して少なくない血飛沫が舞い散る。そんな波乱
に満ちた王国内で、王都守備隊第九中隊――通称“九尾の狐”の隊士達が、それぞれ惑
い迷い悩み挫けそうになりつつも己の信念を抱き腐敗し切った王都を突き進んでゆく。
ああ、これは率直に「面白い!」と思える良い手応えでした。駆け出しの掴みはOK
という具合で。とある一つの部隊で、癖のある訳ありなヤツらばかりで、それでもいざ
となれば抜群の団結力を誇り、何か大きな目的を有していてその為に命懸けで戦ってい
る……これだけ並べりゃ他所で触れた事ある項目の一つや二つは出てきそうですが、ま
ずはキャラクターの個性に惹かれる部分が大きかったので、充分に楽しめました。
何の躊躇いもなく邪魔な人間を殺してしまえるサキですが、彼の中でイーファの存在
が大きくなるに連れて、果たして感情に変化が生じてくるのかどうか? それからサキ
に憑依しているらしい存在の正体は? 表向きでは大人しく王に従いながら王座奪回を
狙っているアランの思惑は? アランに寄り添うリネットの真意は? ……などなど知
りたい事ばかりの謎だらけ。だからこそ続きが楽しみで待ち遠しい。私はヴィスナがお
気に入りなので、まだ詳しく語られていない彼女の過去についても触れて欲しいな。
2005/06/23(木)まおうとゆびきり3 こいのめろでぃ
(刊行年月 H17.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:六甲月千春/イラスト:椎名麻子/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
あ〜これでシリーズ完結かぁ……いつまでもどこまでものほほんと続けられそうな雰
囲気があったので、何か不意打ち喰らった気分だなぁ。ネタ切れ? と問い掛けてはい
けないような気もするのですが、他作品のキャラクターまで小ネタに活用している辺り
結構捻り出すのが苦しかったのかも、とか。……いや、いい根性してるなーとか頑張っ
てるなーって思ったし、キャラネタは大体分かったので面白かったし笑えたし。小ネタ
に関してはまだ色々引き出しの中に温存していると思うのだけど、実際はどうだろう。
内容については相変わらずなかなか微妙、というより当たり前のように魔王敵対勢力
の方々が物語から浮いてしまってしょうがないのですよ。んな魔物さん方のシリアスム
ードなんぞどーでもいいから、硝子と涼香と美貴とかね子の女の子同士でいちゃいちゃ
戯れてりゃいーんだよ!(ってこれはちと乱暴か) もうちょっと魔王配下の将星達と
硝子の日常とがうまく絡んでくれてたら良かったのに。硝子がトキメキを覚えた用務員
さんはあれでそれな正体だったから全く無関係ではないんだけど、どうしてもあんまり
絡んでくれないんだよなぁ。エイカルス(にせ金)、セイダース(短気)、ティオ(お
姉さま)、カフ(ようじょ)、ギザー(がきんちょ)、リン(萌え鎧)という具合でや
っと名前と特徴を覚たのに。硝子と彼らで騒がしくやってくれたら面白そうな予感があ
ったのに。これでお終いなのは残念だな〜。でもダラダラ続くよりはこのくらいが丁度
いいのかな〜。まあ終わってしまったのは仕方ないので、次回作に期待しています。
既刊感想:1、2
2005/06/23(木)タクティカル・ジャッジメント7 思いこみのリベンジ!
(刊行年月 H17.06)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:師走トオル/イラスト:緋呂河とも/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
最初から負けがほぼ確定している裁判を、国選弁護人として嫌がらで押し付けられ請
け負わなければならなくなった今回の善行。まさにこれぞ逆転裁判の醍醐味! と賞賛
の声を上げたいとこだけど、当の善行自身が最初からもうやる気ゼロの投げやり状態な
もんで、勝利を得る為に手段を選ばないあくどさと黒さと毒が不足気味でモノ足らず。
ただ、今回のキーポイントである散弾銃の詳細については、事前に資料を集めたり専
門的な知識のある人に取材を行ったりで得た知識がよく物語で活かされているなと。こ
の散弾銃に限らずですが、例えば毎度の法廷知識だとか氏神のような監察医の役割など
など、本当に丁寧に詳細まで調べているのが読んでいて分かるので、その点でいつも感
心してしまう。読み手には理解し易い配慮が為されていて、更に専門的な分野の事柄を
描く時の手抜かりがない。シリーズ通して凄く好きな部分だと改めて思わされました。
いや〜、しかし最後の逆転の一手まで雪奈に掻っ攫われてしまっているから全くダメ
ダメじゃないか今回の善行は。まあ前の感想で雪奈に活躍の場があって欲しい、と願っ
てた身には嬉しい限りでしたけど。そして次は長編で蔑ろにされていた“ヤツ”が大暴
れか? そんな後引くエピローグで気になる続き。善行も絶体絶命らしいので楽しみ。
既刊感想:1、2、3、4、5、6
SS1、2
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