NOVEL REVIEW
<2002年07月[前半]>
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07/10 『東京タブロイド コレクション 新都揺るがす猟奇な男?』 著者:水城正太郎/富士見ミステリー文庫
07/09 『A君(17)の戦争2 かえらざるとき』 著者:豪屋大介/富士見ファンタジア文庫
07/08 『A君(17)の戦争1 まもるべきもの』 著者:豪屋大介/富士見ファンタジア文庫
07/07 『精霊症候群 エレメンタルカナ』 著者:田村純一&レッド・エンタテインメント/富士見ファンタジア文庫
07/06 『グランダイバーズ 三匹、荒砂に舞う』 著者:青田竜幸/富士見ファンタジア文庫
07/05 『伝説の勇者の伝説2 宿命の二人三脚』 著者:鏡貴也/富士見ファンタジア文庫
07/04 『ダーク・バイオレッツ』 著者:三上延/電撃文庫
07/03 『ポストガール』 著者:増子二郎/電撃文庫
07/02 『僕にお月様を見せないで7 29番目のカッチョマン』 著者:阿智太郎/電撃文庫
07/01 『Missing5 目隠しの物語』 著者:甲田学人/電撃文庫


2002/07/10(水)東京タブロイド コレクション 新都揺るがす猟奇な男?

(刊行年月 H14.06)★★★ [著者:水城正太郎/イラスト:しのざきあきら/富士見書房 富士見ミステリー文庫]  ドラマガ増刊のファンタジーバトルロイヤル掲載分とドラマガ本誌の連載分、それに書 き下ろしを含めた短編集。長編が大事件ならば短編はその間に起こってる些細な出来事と いう位置付け。このシリーズは1巻の昭和29年から巻を重ねるに合わせて昭和30年へ と時を進めて書かれてるのですが、プロローグとエピローグに年越しのシーンをくっ付け て、昭和29年代に遊馬や麻衣子が遭遇した幾つかの小さな事件を回想するという形でう まくまとめられてるなと思いました。  しかし如何せん小ネタの集まりなもんで、長編よりやや盛り上がりに欠けてしまうと感 じられたのも仕方のない事かも知れず。それでも長編の合間に結構小さな事件も起こって るんだなーと思える作りなのは面白い。まあ「新聞記者が超常現象求めて〜」な部分より は、遊馬の苦労回顧録な感じだとか猟奇王とじゃれあってる(としか思えない)部分の方 がメインであって印象に残ったような……と言うより猟奇王ってホント暇な御方やね(笑)。  一番面白かったのはと言えば「学校の階段」。これだけ出張ってる猟奇王が唯一ほとん ど登場してない話を選ぶってのも何だかなだけど(^^;)。これは昭奈の話ですが、仕事 以外での新聞社メンバーの私生活ってのは、これまであまり描かれた事が無かったので新 鮮に感じたのですね。こういうのって限定してスポットを当て易い短編ならではだと思う ので、また短編集があれば書き下ろしででも他のメンバーのさり気ない日常話とかも読ん でみたい(と言っても必然的にオカルトや超常現象な要素が絡むんだろうけど)。  新キャラの香澄もまた麻衣子に負けず劣らずぶっ飛んだ性格で、益々遊馬の気苦労が絶 えないと言った感じ(笑)。なかなか楽しいキャラなので長編でも登場しないかなーと思 ってるんですが今の所連載短編専用っぽいので少々残念。  既刊感想:
2002/07/09(火)A君(17)の戦争2 かえらざるとき
(刊行年月 H14.05)★★★★ [著者:豪屋大介/口絵イラスト:伊東岳彦         /本文イラスト:北野玲&モーニングスター/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  うあー青少年有害社会環境対策基本法までネタに持ち出してるよー(P148)なんて 印象に残った部分を拾いながら、作品のクオリティの高さは全編通じて前巻と同等のもの を感じました。むしろ『戦争』というものを描くうまさについては前巻以上。なのに何で 下がってるかってのはホントに若干微量で、次巻と合わせて1つのエピソードだから謎が 残っている所。仕方ないし当り前なんだけどそれだけです。おそらくここまでのうまさが 次も維持出来てれば上がるのは間違いないだろうという事で。  今回魔王軍とランバルト軍との直接の大戦までには至らず、魔王軍なら剛士そっちのけ で各部隊長達が、そしてランバルトはシレイラちゃんが主に戦略を模索したり。それから 前巻の第二次セントール会戦で受けたダメージの復旧や情報収集や補給隊の妨害妨害工作 など、戦争の準備段階までが描かれてます。  とりわけ、いきなり魔王軍総帥閣下の座に着いてしまった剛士が、戦争で命令を下し人 を動かす事にどれだけの責任を背負わなければならないのか……そこを理解すると共に苦 悩を広げる姿が非常に良かったのではないかなと。  それに合わせて戦争のシステム――戦略の立て方とか部隊の復旧と訓練の様子とか金銭 面の問題とか、そもそも戦争というものを行う事の意味が丁寧にしっかりと描かれている ので重さと説得力が実感出来る。上記の前巻以上のうまさってのはこの辺の事です。  あとはまあ個人的には好きなんだけど相変わらず好みの分かれそな作者視点の文体とか、 コミケや同人誌までネタになって益々オタクなココロを活性化してくれる所とか結構好み です、はい(笑)。持ち越しで気になってるのは2国間の戦争再勃発の大元の原因となっ てるようなプロローグでの事件とゴローズの事、それから実は素性が一番ハッキリしてな いと思われるスフィアの事など。終わり方がさあこれからって所だったので、続きがどう なるのか期待が膨らみます。  既刊感想:
2002/07/08(月)A君(17)の戦争1 まもるべきもの
(刊行年月 H13.11)★★★★☆ [著者:豪屋大介/イラスト:伊東岳彦&モーニングスター/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  ちらほら好評を見ていて以前から気になってたけど後回しになってたタイトル。今月3 巻刊行されるって事らしいので読んでみた所……しっかりきっちりハマってまいました。  主人公がいじめられっ子でただしやった相手に100倍返しの報復を見舞うというのは ちょっと変わった設定だなと興味を引かれつつ、でも最初の時点じゃああこれは現世から 原因不明の異世界転移させられるっていうボロゾーキンのように使い古されて擦り切れた パターンだな、とか思ってました。  それを覆してくれたのはまあ色々あったのですが、やっぱり一番は後半の魔族の魔王領 と人族のランバルト軍との大戦争の見せ方。まず互いに戦略を立ててぶつかる描写がうま いなと。そして両軍とも結構な数の固有名詞が上がっているにもかかわらず書き分けがし っかり出来ているので「それって誰だっけ?」というのが殆どなく、渦中に据えられてい る剛士を始め多くのキャラクターから戦争を通じての心の動きや葛藤がもの凄くダイレク トに伝わってきた辺りから、異世界ファンタジー色なんだけど戦争を起こすという事の重 さとか現実感などが見事に描けてると唸らされました。そりゃもう前半部のおちゃらけた ノリの三人称文体からはとてもじゃないけど考えられなかったくらいに(^^;)。  あとはその何かかなり砕けた感じで書かれてた三人称文体から繰り出されるガン○ムの ジ○ンを中心にしたネタとか、女の子の描写が露骨にエロ目線だったりとか、オタゴコロ をちくちくっと刺激してくれる所に妙な心地良さを感じられた事だろか(笑)。実際この 完璧に『作者の趣味視点』とも言える文体は面白く、それに飲み込まれて物語に引き摺り 込まれてしまったというのもありました。ただ捉え方によっては軽々しく軽薄ってなイメ ージにもなりかねないので、好き嫌いは出るかなぁとは思いましたが。  主人公の剛士からしてかなり個性的であり、女の子なんかは特に過剰に力入れて魅力的 に書いてるきらいもあるようで(笑)。普段は剛士の戸惑いを面白可笑しく戦争では思い 悩む姿をシリアスに出しながら、スフィアやアーシュラ達との関わりを絡めて見せてくれ る。今後の行方が気になると共に非常に楽しみなシリーズです。
2002/07/07(日)精霊症候群 エレメンタルカナ
(刊行年月 H14.06)★★★☆ [著者:田村純一&レッド・エンタテインメント/イラスト:竜月/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  表紙見た時「魔法少女モノ?」→ヒロイン(香月香奈)が制服らしきものを着ている所 から「魔法学園モノ?」→タイトル見て「精霊使役?」=「異世界魔法学園の魔法少女 (精霊使い)物語」とか勝手に想像が膨らみ続けてたのですが、折り返しのあらすじ読ん だらかなり見当違いだったようで(笑)。現実世界の普通の学校に通う香奈に『精霊』と いう特殊な存在が絡んで、『精霊症候群』と呼ばれる者達との関わりから精霊を使役する 同士の戦いに巻き込まれてしまうというもの。  地水火風の属性はあれど、精霊の概念が“呼び出して戦わせる存在”ではなくて“使役 者の身体と同化して能力を受ける存在”というもので、精霊の能力は主に道具や武器に変 換して発揮される所などはなかなか面白い発想だなと思いました。能力も使役者ごとに様 々、その辺りが戦いの際に効果的に表れている。精霊使い同士のぶつかりあいは、相手の 能力や属性などで色々な攻防の変化が楽しめて良かったです。しかし香奈の持つ『指定し た物体の時間を戻す』という能力は、使う際に何かしらの制約(弥生でいうと風の感じら れない室内では能力が低下してしまうとか)がないと、かなり何でもありで反則的な能力 になってしまうんじゃないかなぁ……という物語自体のバランスが崩れてしまうかもしれ ない感じが少々心配なのですが(^^;)。ただ今回は、香奈の中に眠る能力とそれに関係 する記憶の欠落が物語の軸であり鍵となり、序章の伏線もうまく解かれて全体的にしっか り纏まってたのではないかなと。香奈の失われた義母との過去の記憶が、パズルのピース のようにパチリとはまるという描写のラストシーンは結構くるものがありました。  キャラクターは主要3人の精霊使いの女の子――元気でドジっ娘、寡黙でミステリアス &ちょっと感性がズレてる娘、同姓にモテそな体育会系の娘、とありがちで分かり易いな がら押さえるポイントはしっかり押さえていて良い感じ。あとは親友の似非大阪弁の娘と かぶっきらぼうな男の子とか、香奈との掛け合いがこの物語の魅力のひとつで、徐々に変 化を見せる親友関係から後々大きな事件へと発展する展開もこの物語の見所かと。  しかし最初はこれがシリーズ作品として書かれてるとは思わず、章の最後でこそこそ会 話してんのは一体誰だよ……と謎が明かされなかった事に不満たらたらでしたが(苦笑)。 大体どういう組織かは見当が付くけど、残った謎は次巻で見せてくれるものと思いたい。
2002/07/06(土)グランダイバーズ 三匹、荒砂に舞う
(刊行年月 H14.06)★★★☆ [著者:青田竜幸/イラスト:蓮見桃衣/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  何と言っても全編にわたって醸し出されている砂塵にまみれた男臭さがこの物語の最大 の魅力なんではないかなぁ〜(笑)。舞台である監獄都市サンドカースルが女人禁制って のも影響してるだろうけど、登場キャラクター中女性はメガミただ一人で他は男だらけと いう所からも、華やかさ控え目な“男度”の高さが窺い知れるでしょうか。  ブロウ、シェル、アンリの3人の男どもが主役で、作中で特に主役の優劣はないそうで すが、今回は3人の中でブロウが主役を張っていたような感じ。それぞれが特殊な武器を 使いこなす比類なき強さを誇り存分に格好良さを披露しながら、その中で失敗もするしド ジも踏むというどこかとぼけた味わいも見せてくれる。その辺りが彼らの関係と合わせて いい具合に描かれていて、引き込ませてくれる要素のひとつ。  もうひとつ大きな魅力と感じられたのは世界観。様々な毒素に汚染され砂埃にまみれる 荒廃した大地――というどこか暗く孤独で退廃的な雰囲気が非常にうまく描けている。だ から物語の世界をイメージするのが容易で内容にすっと入って行けます。  人類が毒に耐性を持つ身体を得る為に、寿命を犠牲に種族融合を図って進化を遂げて来 たという設定も面白い。ただ種族種類が複雑でちと分かり難いというのもありましたが。  シリーズ作としてまだ始まったばかりなので、ラストで明かされたブロウの素性だとか 時々別人格が浮き上がるようなメガミの秘密とブロウとの関係だとか、何より主役3人の 詳しい関係だとか……伏せられて気になる部分が結構あったので、ドラマガの連載も含め て今後どう物語が展開してゆくのか楽しみにしてみたいです。
2002/07/05(金)伝説の勇者の伝説2 宿命の二人三脚
(刊行年月 H14.06)★★★★ [著者:鏡貴也/イラスト:とよた瑣織/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  「……って」とか「……っていうか」とかくっ付けるのはライナの口癖なんだろか、と 思ってしまうくらいにかなり目に付いたような気がしたのですが……っていうか頻繁過ぎ てちょとうざ(笑)。それはさておき今回はドラマガでの連載も1年近くやってるので、 その収録分かと思いきや書き下ろしだったようで。「勇者の遺物」探索のライナ&フェリ スサイドと、ローランドの新王として改革を進めるシオンサイドと交互に展開してひとつ に繋がる構成は、イマイチだった前巻と比較してもずっと良くなってると感じました。    で、どちらかと言えばシオンサイドのエピソードの方がより面白かったかな。ドロドロ と陰謀渦巻く王と貴族との政策での対立などは嫌いじゃないし、なによりシオンと新キャ ラのフロワードとの微妙なバランスの上で保たれてる関係が堪らないです。やはりいかに シオンの天賦の才があろうと一国の旧体制を覆すのは容易ではないようで、焦りは見えな いけど闇に身を染める部分がフロワードを通じて見え隠れしてるようで危うい感じ。ライ ナとフェリスとも間接的に敵対してるし、彼らの関係が今後どう変化してゆくのか……。  一方ライナ&フェリスの方。雰囲気は連載の流れを汲んでいるという印象。面白いんだ けど二人の漫才が幾度となく繰り広げられてるので少々クドイような気も。  常人以上のライナと超人級なフェリスは、戦闘で危機に陥っても緊張感より何となく大 丈夫だろうという安心感があるので、シリアスシーンで漫才やられると少ない緊張感のカ ケラもなくなってしまうのがなんとも……(^^;)。ただメインはキャラで引っ張る物語 と思ってるので、その点に関してはキャラの魅力が充分引き出せていてうまさが感じられ るなというのも前巻同様。新キャラでは既に連載の方で登場してるけど、ミルク・カラー ドの面白おかしい存在が一番気に入ってます。ライナとの繋がりは、書下ろしの過去と連 載の現在がどう繋がるかに合わせて楽しみであり気になる所。  ……しかしもし今後ライナの性格よろしく、ヤマもオチもなくだらだらぐてぐてのろの ろと「勇者の遺物」探しをやられたんじゃさすがに飽きも早いだろうと思うので(苦笑)、 その辺はうまくシオンサイドと合わせて見せてくれる事を期待したい。  既刊感想:
2002/07/04(木)ダーク・バイオレッツ
(刊行年月 H14.06)★★★☆ [著者:三上延/イラスト:成瀬ちさと/メディアワークス 電撃文庫]  既存のパーツをかき集めてうまい具合にまとめ上げてるな〜という印象。片っ端から挙 げてみると、ボーイミーツガールな要素とかホラーを絡めた学園モノの要素とか幽霊が見 える眼と幽霊に触れられる手を持つ登場キャラクターなどなど。何処かで見た事あるなと 思うものから何処か似てるなと思うものまで、ネタの要素としてはかなりそういう部分が 目に付いたにもかかわらず終始安定した面白さを感じさせてくれた作品。  何故かなと考えると、このテの話はよくありがちなネタが気になったりするもんなんで すが、キャラクターの立て方や伏線の張り方や設定の見せ方など全体的な文章力の高さが それをカバーしていて纏め方もうまいなと思ったから……となります。  しかし良作で安定感があると言うのは裏を返せばそこが欠点にもなり、強く印象に残る ような“これ”と言ったモノを作中から受け取れなかったので、うまいんだけど大人しく 無難に纏まっているというのが読了した時点での正直な所。ただ、充分楽しめたのでそれ 以上を求めるのは読み手の我侭な催促なのかもしれませんが。  キャラクターは明良も柊美も二人の関係も従妹の岬も親友の岡内も好きです、はい。な ので続編を是非期待したいですが、個人的な嗜好としては幽霊事件も学園モノの色を濃く して絡めてくれると嬉しいかなーとか。あとはどこかイマイチ感があってもいいから、無 難な作りの殻を破る一歩突き抜けた「これは!?」と思わせる何かを見せて欲しい。  
2002/07/03(水)ポストガール
(刊行年月 H14.06)★★★☆ [著者:増子二郎/イラスト:GASHIN/メディアワークス 電撃文庫]  第1回電撃hp短編小説賞受賞作である表題作を含めた5編の連作短編集。戦争の被害 で通信システムの死んでしまった地域への郵便配達を担う人型自律機械《メルクリウス》 の中の1人(1体?)MMF108−41、人間からはシルキーと呼ばれる少女の物語。  内容としてやってる事はロボットが郵便配達して受取人と心を通わせる……と、割と分 かり易いのはともすれば新鮮味が薄い印象で物足らなさを感じてしまうかも知れず。  しかし強く惹かれるのは何と言ってもシルキーの心理描写。感情を表に出している瞬間 でさえも「これは作り物の感情でプログラムの為せる業なんだ」と客観的に見れてしまう 部分と、そう思いつつ絶対的なシステムに何故か強く抗いたくなる『人間的感情』として 表れる部分と。この二つのせめぎ合いが生み出すシルキーの心の苦悩や葛藤が実にうまく 描かれてるなと思いました。また、シルキーの感情心理に重きを置いていると感じだので、 感情移入し易い一人称文章というのも効果的なのではないかなと。  この作品は電撃hpの誌上連載でずっと読んでましたが、話数を重ねるごとにシルキー が経験した過去の事がちょこちょこ出て来て、意図してかどうかは分からないけど、それ がまるで彼女の“心の経験の積み重ね”として自意識システムのプログラムを真っ向から 否定する『人間の感情』に近付きつつある様を描いているように思えて面白い。つまり郵 便物を通じて人と触れ合う事がシルキーにとって『人間の感情』の育つ経験値であり、そ れが蓄積されていずれは……という展開だったら短編連作としても話数を重ねる度に彼女 の何らかの変化が見れて単調にならず楽しめるかなと。まだ続刊出るか分からないけれど 誌上連載は続いてるし、今後に期待を込めているとしたらそういった所です。  
2002/07/02(火)僕にお月様を見せないで7 29番目のカッチョマン
(刊行年月 H14.06)★★★ [著者:阿智太郎/イラスト:宮須弥/メディアワークス 電撃文庫]  今回も毎度の如く中編作3本立て。そろそろ「さぁて来週次巻の僕月は〜」とサ○エさ ん張りのナレーションが聞こえて来そうなマンネリ感が漂う所までいいとこ巻数を重ねた でしょうか。いや、マンネリと言えば既に4〜5巻目辺りから感じてはいたけれど、こう 肩の力抜いて笑いながら軽くさらっと読める作風って好きなんですよね。だからまだ面白 さの方が勝ってたのですが、そろそろ鼻に付き始めて来たのは展開のワンパターンさ。  大まかに見て「銀之介が変身して悪者をぶちのめす」か「銀之介の正体がバレそうにな ってトラブルが発生する」の2つしかないのを、中編続きで延々とやられちゃいくら笑え ても面白くてもさすがに飽きてしまう。たまに長編入れて欲しいって思うのは、こういう マンネリ感を払拭して欲しい気持ちからなのですが。  もっとも、そろそろシリーズも締めに入るって事なので(と言うよりあとがきで著者が 飽き始めてるように感じるのは私だけだろか……?)、もはやこのシリーズは終わりに持 ってくるエピソードとしたらあれかな? それともこれかな? と想像を巡らせるのが一 番楽しいような気もしないでもないですが(笑)、そんな感じで続刊待ちです。   あとは過去に登場したキャラが結構多いはずなのに、あまり使われてないのが勿体無い というか不憫というか。特に倉地センセとかプチ三石ちゃんとか『僕血』とリンクしてる キャラをもっと出して欲しいんだけど、最近存在すら忘れられてるような……。キャラが 多くて使い切れてないと言うよりは、書きたいエピソードが多過ぎて手が回らず持て余し てるって感じかな。そう思うと続けられるネタはまだまだ尽きる事もなさそうだけど…… やはりマンネリからそろっと締めに入った方がいいのかな〜という感じ。  既刊感想:
2002/07/01(月)Missing5 目隠しの物語
(刊行年月 H14.06)★★★★ [著者:甲田学人/イラスト:翠川しん/メディアワークス 電撃文庫]  コックリさんとは名前だけ頭にあって詳しくどういうものかというのは知らなかったの ですが、さすがにその辺りの造詣の深さというのが物語に生かされていて、魔術儀式とか 心霊学とか普段興味皆無ながら何故か空目のマニアックな解説を通じて気が付くと引かれ てしまっている。正直視点があちこち動き回るような構成は、どうにも散漫な印象を毎回 感じさせてくれたんですが、ここまで巻が進んでも変わらないと段々これが作風なんだな と許容出来るようにもなってきました(笑)。実際そんな不満よりも引き込まれる文章力 の方がずっと上を行ってるように感じられるので。  個人的には恐怖や異常さ、おぞましさなどはシリーズ随一だったかも。というのも、こ れまでそれ程背筋が寒くなったり鳥肌立ったりというのがなかったのですが、今回はちと 本気で「うあ……」となってしまった描写が幾つか存在した為。  仕掛けたのはもう最初から大体予想付いてたけど、相変わらず行動する目的や狙いが謎 に包まれてる十叶詠子。芳賀から彼女の名前が出た事でそろそろ核心に触れ始めるのかと いう雰囲気もありましたが……そもそも詠子自身に目的だの狙いだのという概念が存在し ないのかもしれない。今回登場はなかったけど神野と彼女の関係と空目達との関係から、 物語の核心へ向けて描かれる事を期待したい。何せ現状では謎だらけだからなぁ。  んで前回感想で想像してた通り今回メンバーで狙われたのは武巳だったのですが、とな ると次巻は残る俊也かな? あまり俊也から異存在の影響で追い込まれる姿ってのは想像 できないけど、何となく一番空目に深く突っ込んだ物言いをするのも彼のような気がする ので、こちらもどういった関わりを見せるのか楽しみな所(って次が俊也だと決まったわ けじゃないんだけど(^^;))。  既刊感想:


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